仮に、この記事の通り、当初予想の20便だとしても、米国を優遇し過ぎではないのか。そう感じた私は、それを数字で確認しようと思って、政府観光局の統計サイトを見てみた。すると、以下のようなことがわかった。

 2018年暦年の日本を訪れた外国人旅行者の数(推計値)は、全体で3119万人だが、そのうち、アメリカからの入国者は153万人で、全体に占める割合は、4.9%に過ぎない。また、最近の海外からの訪日客の急増を国別で見ても、13年から18年の5年間で、増加数全体2083万人に対して、アメリカからの増加は72万人。わずか3.5%を占めるのみである。もちろん、アメリカからの入国者は5年間で1.9倍と大きな伸びを示しているのだが、一方で、アジア諸国の増加はそれよりもはるかに大きく、中国は6.4倍、フィリピン4.7倍、韓国3.1倍、香港3倍、インドネシア2.9倍、マレーシア2.7倍、タイ2.5倍、シンガポール2.3倍、台湾2.2倍といずれも米国を上回っている。

 増加数で見ても、中国707万人、韓国508万人、台湾255万人、香港146万人といずれもアメリカの倍以上の増加だ。

 一方、出国者数を見ると、入国外国人が増えているから、それに伴って出国する外国人も当然同じように増えているが、出国する日本人の数は、ほとんど増えていない。

 これらの客観的な数字から見ると、新たに増える50の発着枠のうち、日米路線に振り向けるのは、日米航空会社に同数割り当てるという前提(複数になる)で、5%程度の2枠ないし多くて4枠で十分なはずだ。アメリカ路線は飛行距離が長く、需要さえあれば高額運賃をとれる収益貢献路線だから、航空会社と癒着した官僚たちからみれば、多少は優遇したいという気持ちはあるだろう。仮にそれが日本側の希望だと考えても、せいぜい、10枠までが限度ではないのか。

 それにもかかわらず、最初から4割の20枠を割り当てようとしていたとすれば、その時点で、既に破格の優遇だったと言って良いだろう。

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そもそも需要が本当にあるのか?