■ビートたけしや志村けんとの違い

 また、多くの番組でMCを担当しているが、関わっているスタッフは意外と少ないのだという。
 
「所さんがやっている番組はどれも10年、20年以上続いているものばかり。当然スタッフは固定されていて、打ち合わせに同席するのも局のお偉いさんばかりなんです。だから、エピソードが漏れてこないですよね。若手ディレクタークラスだと、私の周りでも所さんの番組に関わったことがあるスタッフさえなかなかいません。ビートたけしさん(72)や志村けんさん(68)などの大御所芸人は、若手芸人たちを連れて飲みに行くことが多く、そこからエピソードが漏れてきますし、時には制作スタッフとも一緒に遊ぶこともあります。それが所さんはないんですよね」(前出のディレクター)

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、テレビにおける彼の存在についてこう分析する。

「今でこそお茶の間の好感度の高い所さんですが、80年代にはその過激なお色気路線が国会でも問題になった深夜番組『TV海賊チャンネル』の司会を務めていたり、成人向け投稿系写真誌で連載を持っていたりするなど、アナーキーで破天荒な活動もしていました。今回の動画投稿も、そんな所さんの一面が垣間見えたと思えば、特に違和感はありません。テレビの世界では、特に政治的発言もせず、長い間『何もしない』生きざまを貫いてきたように見える所さんも、さすがにひと言いいたかったのではないでしょうか。ドラマ好きとしては『うちの子にかぎって……』(1984年)や『私は貝になりたい』(1994年)などで見せた、『俳優・所ジョージ』の味のある演技をぜひまた見てみたいところです」

 1977年にシンガー・ソングライターとしてデビューしてからすでに40年近く、プライベートや本心は謎に包まれたままの不思議な存在の所さん。今後もYouTubeから新たな魅力を発信し続けていってほしい。(ライター・今市新之助)