なぜか。実は、事務所へのファンからの要望が加速したのはBTSと秋元氏の騒動を経てから、という声もある。

「BTSの一件があり、あの騒動が『強く抗議すれば要望が通る前例』になったというのがファンの見立てです」(前出のライター)

 さらに、韓国在住ライターの菅野朋子さんは2017年8月に韓国政府が大統領府のホームページに国民が請願や提案できる掲示板を開設したことも、「声を上げやすい雰囲気」を国内で強めたと指摘する。

「この掲示板は、30日以内に20万人を上回る署名が集まった請願や提案に対して、政府が何らかの回答をするというものです。何でも書き込むことができるため、女優との不倫で騒がれた映画監督の逮捕を請願するといったようなバッシングや過激な投稿もありますが、実現するしないに関係なく、声をどんどん上げていこうという雰囲気が高まったと思います」

 このような声を上げる文化に、売れている感を作り出す「ファンあってこそ」の精神が絡み合い、アーティスト側がファンに動かされるケースが目立つようになったのだ。SNS時代に生きるアイドルたちの苦悩もうかがえる。(AERA dot.編集部・福井しほ)

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福井しほ

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大阪生まれ、大阪育ち。

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