1999年のiモード誕生時に組み込まれた絵文字は、テキスト中心の初期のケータイWebの表現やコミュニケーションを華やかなものにしました。漢字と同じように表意文字ながら、イラストを文字化したデザインで、絵文字一つだけでもメールが成立するほど。当時文字数単位で課金されていたメールにおいて、1文字で意味が通じることは、大量のメールをやりとりする若者にとっては大変ありがたい存在でした。

 長らく絵文字は日本のケータイだけで活用されてきましたが、2008年に日本でも発売されたiPhone 3Gに絵文字が収録されてから、世界中で絵文字に注目が集まりました。当時日本のiPhoneでしか使えなかった絵文字を無理矢理表示させるアプリが人気を博すようになりました。

 GoogleとAppleによって2010年に文字コードの標準化を行うUnicodeに絵文字が収録され、世界中のiPhone、Androidスマートフォンで絵文字が使えるようになりました。

 例えばInstagramをみると、コメントには絵文字があふれており、あらゆる国の人たちが当たり前のように使用する共通の文字になりました。これは絵文字が数字やアルファベットと同じような存在になった、ということです。

 Unicodeに収録された当初、日本のケータイにあった絵文字が標準化されたため、初心者マークやラーメン、カレーライス、団子、「たいへんよくできました」のハンコなど、日本文化に強く寄ったラインアップでした。

 そこで近年は、ピザやアボカド、パエリアといった世界中の食べ物が入ったり、顔文字の肌の色やヘアスタイルが選べるようになったり、同性同士のカップル絵文字が追加されるなど、絵文字の国際化が起きています。

■ビジネスの主体はシリコンバレーへ

 ケータイ向けのコンテンツビジネスは1999年以降、ゼロから年間5000億円規模へと拡大してきました。しかしスマートフォンビジネスへと移行し、AppleとGoogleがプラットホームを握るようになると、その規模は一挙に拡大し、Appleだけでも3ヶ月に1兆1300億ドルを売り上げる規模へと拡大しました。

 世界中で同じスマートフォン向けのソフトウェアを提供し、アプリストアを運営するAppleとGoogleに、モバイルアプリストアの手数料が集中するようになったのです。しかしシリコンバレーがモバイルビジネスの中心になった理由は、他にもありました。

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スマホ革命で痛感したこと