iPhoneで世界を席巻したS・ジョブス氏 (c)朝日新聞社
iPhoneで世界を席巻したS・ジョブス氏 (c)朝日新聞社
iPhoneでも採用された日本の絵文字 (c)朝日新聞社
iPhoneでも採用された日本の絵文字 (c)朝日新聞社
松村太郎(まつむら・たろう)/1980年東京生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了後、独立。テクノロジーとライフスタイルの執筆活動を行う。キャスタリア取締役、プログラミング必修の通信高校code.ac.jp設立に携わる。
松村太郎(まつむら・たろう)/1980年東京生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了後、独立。テクノロジーとライフスタイルの執筆活動を行う。キャスタリア取締役、プログラミング必修の通信高校code.ac.jp設立に携わる。

 平成に入ってから急成長したケータイは、2000年代、日本において非常に豊かな文化やサービスを生み出し、人々の生活に深く溶け込んでいきました。我々の生活はケータイがある前提に再構成されていったのです。

【写真】iPhoneでも採用された日本の絵文字はこんなにあった!

 ケータイ以前の物語で定番だったのが、出会いや待ち合わせのシーン。出先での連絡手段がなかった時代、運命的な出会いや、待ち合わせですれ違って出会えないというシーンは、物語の中で定番でした。

 実生活で出会えないということが起きないように、「駅前に何時」と事前に約束をしていきます。それでも初めて行く駅では、違う改札を出て一苦労する、なんてことも起きていました。

 しかし、ケータイを手にしてからは、約束をしなくても、「ひまー?」「ひま」でお互いの今いる場所から近い地点を選んで落ち合うことができます。スマートフォンになった現在、LINEやFacebook Messengerなどではお互いの今いる場所を共有して、だんだん近づいていく様子を楽しむことすらできるようになりました。

 すれ違いという情緒的なトラブルが起きるとすれば、電池切れの時ぐらいでしょう。そうでなければ物語で描いても「リアルではない」としらけるだけです。

 こうした人々の行動の変化が世界規模で起きはじめた。これがスマートフォンのインパクトです。世界中の人々が生活の前提やその方法を変化させ続けてきたのが平成のモバイル革命。

 その最も初期を日本人のワカモノが体験してきた点ととらえると、現在の日本の35~45歳の世代、いわゆるミレニアル世代やジェネレーションYといわれている世代に属する日本人が、自分が若いときに体験してきた経験やセンスを生かすと、世界的な競争力を発揮するのではないか、というのが筆者の仮説です。

■世界標準語になった「絵文字」

 日本語がそのまま英語などの海外の言葉として流通する単語は数多くあります。和食ブームに乗って「Sushi」「Udon」「Ramen」といった単語はそのまま通じます。学術方面でも「Tsunami」「Hikikomori」も、日本語と同じ意味で通じます。「Emoji」もその仲間の一つですが、より大きな意味合いがありました。

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絵文字一つで意味が通じる!