「未来投資会議に出席する際は『大学教授』を名乗っているが、竹中氏は人材派遣会社パソナの会長。そのほかにも、オリックス社外取締役など複数の大企業の幹部を務めている。未来投資会議の決定で規制緩和された業界には、竹中氏が関係する企業が次々に参入している。会議に参加する民間議員は政府のインサイダー情報に接することができるのに、資産公開の義務もない。利害関係が不透明だ」

 与野党関係なく、首相の私的諮問機関によって「行政がゆがめられた」と批判する人は多い。18年に大きな問題となった愛媛県今治市の加計学園の獣医学部新設も、もとは私的諮問機関の一つである国家戦略特区諮問会議で決定されたものだ。

 実は水道法改正案でも、法案に関連して不可解な補助金制度が新設されている。

 法案の骨格ができるまでに竹中氏と福田氏が特にこだわったのは、自治体がコンセッションに参加しやすくするよう、優遇措置を与えることだった。その一つとして実現したのが、地方自治体が国から借りている借金を「繰上償還」できるようにしたことだ。

 地方自治体は、インフラ整備などのために財務省が管轄する旧資金運用部資金(財政投融資)から借りた金を繰上償還することは、原則として認められていない。財投の資金は低金利で長期で運用されているので、繰上償還で金利が失われると、財投の資金に穴があくためだ。そのため、繰上償還した場合、本来払うべき金利に相当する「補償金」を支払わなければならない。それが今回、水道法改正案が成立する前の6月にPFI法が改正され、一定の範囲内で繰上償還を認める制度が新設された。

 補償金が免除になれば、たしかに地方自治体は得をする。これに財務省が反発した。仮に、過去の水道事業に関して100億円の借金残高があり、そこに金利の3億円が含まれていたら、地方自治体は97億円だけ払えばすむ。しかも、97億円はコンセッションを入札した民間事業者が「運営権対価」として払ってくれる。だが、財投は国民の財産であり、財投の資金が目減りすることは実質的にその3億円は国民の負担となることを意味する。財務省が反発するのは当然だ。ある財務官僚はこう話す。

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財務省は竹中・福田案に猛反発