新垣結衣 (c)朝日新聞社
新垣結衣 (c)朝日新聞社

■ベッドシーン以外にもいろんな仕掛けがあった

【写真】今よりも前髪が短い?少し幼い雰囲気の漂うガッキーはこちら】

 近年、多くのヒット作を手がけ、注目が集まっている脚本家の野木亜紀子氏と、女優の新垣結衣(30)のタッグが放送前から話題となっていた「獣になれない私たち」(日本テレビ系)。タッグを組んだ前回作品は「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)が高視聴率だっただけに、今回も期待がかかっていた。

 しかし、初回こそ11.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)という視聴率を記録したが、全体では8%台で最終回を迎えた。

「『逃げ恥』タッグと言われていますが、オリジナル脚本の企画はもう少し前から作っていたと思いますし、日テレでの座組はむしろ野木・新垣タッグで2015年に放映された『掟上今日子の備忘録』に近いんですよね。それ以外では黒木華(28)も野木さんのドラマ『重版出来!』(TBS系、2016年)で組んでいますが、どちらの作品もおおよそ平均視聴率は7~9%程度。『逃げ恥』が大ヒットしただけで、実際にはこんなもんかなのかなと。とはいえ、いずれも視聴者の満足度やドラマ制作側の評判は高い。最後までしっかり見た業界関係者は多いと思いますよ」(民放ドラマプロデューサー)

 確かに、新垣結衣の美貌に加え、ブラック企業問題を軸にした働き方問題、介護、粉飾決算、多様な恋愛模様や炎上事件とそれを煽るマスコミに対する批判など、現代社会が抱える問題をこれでもかというくらい入れ込んだ同作。

 練りに練られた脚本だけあり、最後まで継続して見たファンも多く、それ以外にも話題となる仕掛けが満載だった。特に第9話(12月5日放送)では、清純派の新垣結衣がついにベッドシーンに臨んで話題になったのだ。ただし、こちらは「脱ぎが甘い」といったブーイングの声もあった。

「あのシーンは、ただ2人が結ばれたという記号的な扱いでしたね。たしかにガッキーの上に松田が覆いかぶさり、メロウな演出のみで声などもなく、扱いも小さかった。松田龍平(35)演じる根元と、今までそうなりそうでならなかった2人がついに一夜を迎えるシーンだったので、その描写に対してブーイングがあがっているなんて、おもしろいですね」(テレビドラマディレクター)

 ベッドシーン以外にも話題を呼びそうな驚きの演出がこれまでにも多数あった。

「今回、野木さんは、キャスティングにもかなり力が入っているようでした。特に、面白かったのは菊地凛子(37)演じる橘呉羽の夫で、ゲームクリエイターの橘カイジの存在。3話目くらいから、ずっとその存在がほのめかされてきましたが、顔が映ることはなかった。どの役者が演じるかが、視聴者にはまったく知らされていなかったんです。松田龍平の恋のライバルでもあり、ドラマの核心を動かす要素でもあったので、誰なんだろうとワクワクしていたのですが、それがまさか、お笑いコンビ・ずんの飯尾和樹さん(49)だったとは……。全体の構成がトレンディードラマみたいだったので、ライバル役はさぞイケメンでイケ好かない男なのかと思いきや……絶妙なキャスティングでした。これにはツイッター上でもざわついていまし、野木さん自身がツイッターでこのキャスティングについて語っているのもおもしろかった。たしかに、お相手はゲームクリエイターですし、いつも恋のライバルがイケメンとは限らない。野木さんらしい、リアリティーがある演出です」(テレビ情報誌の編集者)

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