亀井静香元金融相(撮影/西岡千史)
亀井静香元金融相(撮影/西岡千史)
日産の西川社長(撮影/西岡千史)
日産の西川社長(撮影/西岡千史)

 日本中に衝撃を与えたカルロス・ゴーン日産前会長(64)の逮捕から2週間が過ぎた。東京地検特捜部としては田中角栄元首相や金丸信元自民党副総裁以来の“大物逮捕”と言われているが、国内外で捜査への批判も噴出している。

【写真】亀井氏がゴーン逮捕で「最も悪い」と批判する日産幹部

 ゴーン前会長の容疑は、有価証券報告書で役員報酬の一部を少なく記載したことで、虚偽記載の総額は2010年3月期から18年3月期までで総額95億円にのぼるとされる。

 日本で1億円以上の報酬を受けている役員の個別開示が義務化されたのは10年。反発する経済界を押し切り、実現させたのは鳩山由紀夫内閣で金融相を務めた亀井静香氏だった。思わぬ形でゴーン氏逮捕の“仕掛け人”となってしまったが、なぜ、役員報酬開示の義務化が必要だと考えていたのか。また、亀井氏は国会議員になる前の警察時代に組織犯罪の捜査を担当していたこともある。今回の特捜部の捜査についても聞いた。

* * *
──11月19日、ゴーン氏が逮捕されました。報道によると、特捜部は10年に役員報酬の開示が義務化されてから、実際の報酬より少なく記載していたとのことです。

 ゴーンさんは大金持ちなのにやることがセコいね。家族のために会社の金を使っていたとか、報酬をわざと少なくしていたとか。世界の大企業と比べればゴーンさんの報酬なんて高くないんだから、堂々としていればよかった。経営者としてのゴーンさんの虚像が、はがれたね。

──逮捕のきっかけとなったのが、亀井さんが金融相だった10年に、1億円以上の報酬を受けている役員の個人名開示を義務化したことでした。義務化したのはなぜですか?

 その理由はいたって簡単で、子供でもわかる。会社の経営者は社会的存在であり、公の存在。だから、どういう報酬を得ているかはオープンにしなければならない。

 私は、社長が高い報酬をもらうべきではないと考えているわけではないよ。高額の報酬を得ていても、世間の評価に耐えるだけの仕事をすればいいんだ。

次のページ
経済界の反発をどうやって押し切ったのか