来年のワールドカップのプールで日本が対戦するチームを見ても、スコットランドはピチョット氏のリストで域外生まれの選手の割合が日本の37.1%を上回る46.3%でトップ。しかし、本拠のマレーフィールドスタジアムでのテストマッチでは、11月24日のアルゼンチン代表戦で11試合連続完売と代表チームはファンからの圧倒的な支持を集めている。

 一方、ラグビーにおけるアイルランドはアイルランド共和国の代表ではなく、英国の一部である北アイルランドも含むアイルランド島全体の代表チーム。つまり、そもそも国家の枠組みを超えた存在だ。英国の欧州連合(EU)離脱後のアイルランド共和国と北アイルランドの間の人や物の往来が離脱交渉の大きな焦点の一つとなっているが、ラグビーにおいては、EU発足のはるか前から、北アイルランド紛争が激しかった時代を通じても、アイルランド代表は国境や宗教の壁を超えて一つだった。

 ラグビーワールドカップ2019組織委員会は、来年の大会はダイバーシティー(多様性)を実感する機会だと訴えている。この記事の後半はすっかり日本代表の注目選手というテーマから離れてしまったが、日本で開かれるワールドカップというまたとない機会に、ダイバーシティーとその先にあるべき多文化共生という視点からも、日本代表や海外の代表チームの魅力を知って欲しい。