ラグビー日本代表の福岡堅樹(写真:getty Images)
ラグビー日本代表の福岡堅樹(写真:getty Images)

 ラグビーの日本代表は11月24日のロシア代表戦で今年の活動を終え、いよいよ来年、日本で開催されるワールドカップ2019の年を迎える。夏季オリンピック、FIFAワールドカップに次いで世界三大スポーツイベントの一つに数えられるラグビー・ワールドカップ。日本国内でこれまでになくラグビーに注目が集まる中、競技を象徴する「アイコン」となる選手は誰だろうか。

 2015年にイングランドで開催された前回大会では、初戦で過去優勝2度の強豪、南アフリカを破るという世界のラグビー史に残る大番狂わせを演じた日本。この時は、突然ラグビーを取り上げるようになったメディアが目を付けたのが、フルバック(FB)五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)だった。

 そして、2019年に向けてメディアやファンの注目を集めているのが、田村優(キヤノンイーグルス)だ。テストマッチ(国代表同士の対戦)の後は、彼のプレーに対する意見が毎回SNSで飛び交う。ともすれば批判の声が多くなるのは、彼が司令塔のスタンドオフ(SO)だからだろう。

 2015年に当時のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(現イングランド代表監督)が緻密に練り上げた戦略と戦術で日本代表を大躍進させたことで、より多くのファンが戦略や戦術に関心を持ち、いきおい、試合を組み立てるSOのプレーには、厳しい目が向けられるようになった。さらに、前回大会で五郎丸が務めたゴールキッカーの任も担っており、そのパフォーマンスがチームの勝敗を直接左右する立場にいる。

 田村は高校日本代表に選ばれず、U-20日本代表も日本開催だった世界選手権を前に落選とサクラのジャージーとは無縁だった。しかし、エディー・ジョーンズ氏は日本代表ヘッドコーチ就任後最初に選んだメンバーに抜擢。しかも、代表発表記者会見に「これから実現しようとする日本代表のラグビーを象徴する選手を3人出席させたい」という日本ラグビー協会広報の要請に対して、3人のうちの1人に田村を挙げた。実際、田村はすぐに代表に定着して2015年のワールドカップに出場。その後は代表の正SOの重責を担っている。

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医学を志望し、ピアノも嗜む異色の選手