こちらもちょいちょい小川さんからアドバイスを得て、最終的には、えびすさんの顔にカンフー映画の俳優を思わせる体を付けることにした。苦労したのが骨格だ。パソコンで人間や動物の画像をあさり、100円均一ショップにあった動物の置物を注視して、骨格やしわ、毛並みをリアルに表現していった。まる子さんのスネコスリは短パンをはいているのだが、服のしわを再現するために、小川さんに短パンをはいた写真まで送ってもらった。

 スネコスリが手にしているたわしの毛は、100円均一ショップで数種類の麻ひもを購入、ほどいて強度などを調べた後、選び抜いた1本1本を埋め込んだ。作品を自宅に持ち帰り、制作を進めるまる子さんを見て、同居の親は心配していたそうだ。

「出来上がりには納得しています。こんなど素人でも作れるんやで、というのを伝えたかった」(まる子さん)

 初挑戦のハンサムさんは、小川さんのアドバイスに四苦八苦する2人をみて思った。「第7頸椎(頭を支える頸椎の最も一番下にある骨) がどうのこうのとか言われてて大変やなあ」。そうして題材に選んだのが、骨がなさそうな「べとべとさん」(夜道を後ろからついてくる妖怪)だ。

「丸っこくすればいいやろ」と作り始めたが、次々と気になる点が出てきた。同期のよしみか小川さんのあたりも柔らかく、制作は比較的順調に進んだ。完成したのは、大きな一つ目が特徴の、愛きょうのあるべとべとさん。「自分の中では100点」と出来に満足している。

 小川さんは「最初から見ると、確実に上手くなった」と、3人の奮闘を評価する。自身は、とりついた人を空腹にさせるという「ヒダル神」を制作した。

 最終回のコンテストの作品の受付は、既に締め切られ、前回よりやや少ない209点が集まった。小川さんによると、プロの造形作家からも作品が寄せられたほか、1人で60点ほど応募してきたつわものもいたという。「最後まで作品を応募してお付き合いいただいた方々に、感謝の気持ちしかありません。最後のコンテストとなるのは本当に寂しい」(小川さん)

 コンテストの結果は、12月に発表される予定だ。選考のポイントは「独自の世界観を表せているかどうか」。選考結果は楽しみだが、福崎町のまちづくりの行方は――。(ライター・南文枝)