最終回は、小川さんと、同期のハンサムさん、部下のフォレストさん、まる子さんが参加(名前はフェイスブックページでのハンドルネーム)。小川さんを除く3人は造形素人だが、小川さんのアドバイスを受けながら、デザインを考えてスカルピー(樹脂粘土)をこね、作品を完成させた。

 進ちょく状況は定期的にフェイスブックページに投稿されるため、筆者も見守っていたのだが、3人が自身の技術を包み隠さずに投稿し、かつ上達していっていることに感動すら覚えた。

 例えば、小学生の時にドラえもんの貯金箱を作って以来の造形に取り組むフォレストさん。16年の第3回から毎年挑戦しているが、どの作品も、一度は小川さんにボツにされている。

 今回は、釣り人に水中から「置いてけ、置いてけ」と呼びかけるという「オイテケボリ」を作ることに。最初のラフ画を見せてもらうと、人面魚から手が生えている。ひどい。実にひどい。

「小川さんは、最初のイラスト段階では『ええよ』と言っていたんですよ ……あれは忙しかったからなのか……」とフォレストさん。だが、これまでの経験からか、なんとなく「見せたらあかん」と思い、秘密裏に制作を進めた。「直されるのが嫌やったんですね。今回はいけるはず、と思っていました」

 途中まではラフ画の通りに制作していたが、ある日、とうとう小川さんに見つかり、呼び出された。魚から生やした両腕はもがれ、作品がどんどん修正されていく。残ったのは、目玉のみ。小川さんは「おぞましい出来でした。直してあげないと大変なことになると思いました」と振り返る。

 フォレストさんは、泣きそうになりながらも気を取り直し、頭から人間の脳がはみ出た、独創的なオイテケボリを完成させた。「ありえないところに着地できて良かった。今は完成して解放感を感じています。造形をして、観察力がつきました。仕事にも役立てられると思います」と前向きだ。

 まる子さんも3年目のチャレンジ。過去2回はアニメ風に仕上げたため、今回は「リアル系で」と、雨の晩に道行く人の足の間をこすって通るという犬の形をした妖怪「スネコスリ」を選んだ。

「イラストが大変だった」と話すまる子さんにラフ画を見せてもらったところ、これまたひどい。二本足で立つ犬の上半身と下半身が、なぜかばねでつながっている。まったく理解に苦しむ。

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ハンサムさんが「べとべとさん」を選んだ理由とは?