「進次郎さんの演説を見に行ったけど、動員ばかり。得意のダジャレも滑っていたし、名護市長選の時に若者をたくさん集めた時のような熱気はなかった」(自民党関係者)

 いまや日本で最も演説会での動員力があると言われている進次郎氏。“客寄せ神話”は崩壊してしまったのか。

「崩壊というには、彼にはかわいそうかも(笑)。というのも、一緒に演説したのが菅さんで、『携帯電話料金の値段を4割下げる』と言ったからです。知事にも官房長官にもその権限はない。そんなことは誰でもわかること。『沖縄県民をバカにしているのか』と多くの人が思ったはずです」(前出の選対幹部)

 これだけではない。東京からやって来た政治家たちが、次々と沖縄で顰蹙を買った。

「ある国会議員は、世論調査でも基地問題が最大の争点になっているのに、戦争中の話をわざわざ持ち出して、『沖縄の人たちはよく戦ってくれた』という話をしました。たしかにその通りなのですが、玉砕させたのは本土の人間でしょう。沖縄の人は、本土の人がこういう“愛国漫談”をすると、トゲに触れたように敏感に反発する。なぜ、佐喜眞陣営はこんな話をするのを止めなかったのか。おそらく、安倍政権には何の意見も言えないんでしょうね。そのことがわかって自民・公明の支持者が逃げた」(同)

 そのほかにも、小池百合子・東京都知事や石破茂・元自民党幹事長など、次々に大物議員を投入したが、すべて不発に終わった。

「もちろん、野党も幹部議員が沖縄に来ましたよ。しかし、スポットで演説することはあっても、できるだけ目立たないようにした。これは、新潟県知事選で野党の党首達が一斉に演説して、新潟の人たちが反発したことの反省からでした」(同)

 沖縄主体の選挙戦を展開した玉城陣営に対し、中央とのパイプを明確にして"自滅”した佐喜眞陣営。予想以上の票差の背景には、こういった事情があったのだ。

 そして玉城氏陣営が9月22日に那覇市で開いた集会で、翁長前知事の妻、樹子(みきこ)さんがマイクを握り、「政府の権力を行使して沖縄県民を押しつぶそうとしている」と訴えたことも大きかった。

 選対幹部はこうも語った。

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若い人が奮闘した玉城デニー選対