ホワイトボードに書かれた『闘う君の唄を』のプロット解説
ホワイトボードに書かれた『闘う君の唄を』のプロット解説

中山七里氏(左)と新井見枝香氏
中山七里氏(左)と新井見枝香氏

 啓文堂書店文庫大賞にもノミネートした話題作『闘う君の唄を』(朝日文庫)と『中山七転八倒』(幻冬舎文庫)を刊行したばかりの作家の中山七里氏が、三省堂書店神保町本店の名物書店員・新井見枝香さんを司会に迎え、作家になる資質から、尊敬する作家や嫌いな作家まで。赤裸々に語ったトークイベントの様子を特別にお送りする。

【トークイベントの様子はこちら】

■エンタメ作家は怒らない 作家になるために必要な資質とは?

新井:ところで中山さんが、怒ったところ見たことないんですけど。

中山:怒ったことないよ。

新井:怒らないんですか?

中山:だって、怒るのもったいないもん。

新井:わーー!

中山:だって、怒っちゃったら、終わりでしょ。でも、怒らずにその怒りの源をずっと覚えてたら、それは文章のネタになるもん。

新井:そうか! 怒らないで、覚えておこうって思ってるんだ。それすごいなあ。

中山:生まれてから僕、怒ったことを覚えてるのは2回だけ。怒らないと、生きるのすごい楽よ。ストレスないし。

新井:うん。そうですよね。

中山:怒ると、体力使うし、怒った相手にその場でなんか言っても、大抵自分がイヤな気持ちになっちゃうでしょ。

新井:なるなるなる。

中山:なるでしょ。人生楽に過ごすのは、怒らないこと。

新井:すごい見習いたい。私は割と怒ったりするじゃないですか。

中山:はいはいはい。即顔にでるよね。

新井:中山さん相手でも、すごくひどい対応とかしちゃうんですけど、全然変わらないですよ。

中山:エンタメ作家は、人を楽しませてナンボっていうのがあるから。だから、怒ってる人がいたらなんとか笑わせようっていう風に思っちゃう。エンタメの物書きには、求められている資質な気がするな。人を楽しませよって思わなかったら、書けない。それが普通の生活にも、にじみ出ているだけな気がする。

新井:そうかもしれない。そうですね、いつでも楽しい話をしますよね。

中山:うん。だいたい、話してて嫌になることがあったら、損でしょ時間。

■歩きながら考えることは 「どうやって人を殺せるか」

新井:そろそろ質問コーナーですかね? まずは、ご自身の生活時間と物語を考えている時間をどのように区別されているのでしょうか。

中山:時間的に言うと、99対1くらい。生活は1くらい。

新井:ほぼ仕事。

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