この時、私は久々に「気が休まる」感覚を味わったのだ。

 産む前は、ちょっと忙しくなると平気で、

「あー、忙しい忙しい」

 なんてのたまったものだったが、とんでもない。

 育児に比べたら仕事なんてラクなもの。

 まあ、キャリアも長くなって仕事の勝手が分かっていたり、年齢的に、アクションなどの身体を張った撮影も少なかったり、ということはあるにせよだ。

 現在私は「探偵が早すぎる」と言う木曜深夜のドラマの撮影中だ。

 この酷暑の中、皆で汗だくでやっている。

 暑さで体力奪われるしヘロヘロだが、それでも、ちょっとした待ち時間に、共演の広瀬アリスちゃんや滝藤賢一さんらと談笑する時間があって、「ああ、こういう時間があることが、気晴らしにもなるし、こういう時間があるからラクに感じられるんだよなあ」と思う。

 昼食休憩、夕食休憩も小一時間、ちゃんとあるわけで、「わあ、ご飯を食べるだけの時間! 贅沢!」と思ってしまう。まあ実際、その間にセリフを覚えたり、こうして書き物をしたりするんだけど、出産してからというもの、自由時間のありがたみをひしひしと感じられるようになった。

 長くやっている仕事だから、ペース配分もできるし、仕事でもちろん疲れるんだけど、チビを追っかけ回しながらタスクをこなす一日の方が倍疲れる。

 それはなぜだろうとずっと考えていたのだが、

「予測不能な動きをするチビのペースに合わせて動くからなのではないか」

 という結論に至った。

 チビがぐずる、泣く、遊ぶ、ウンチする、いたずらする、そのペースに寄り添いながら隙を見て家事!

 エンドレスな片付け

 自分のペースでなどできないから、同じ仕事量の家事をこなすにしても無駄な動きが増える。それで倍疲れるんじゃないかと。

「俺は外で働いてんだ! 育児なんか女の仕事だ!」なんていうお父さんいたら(どこぞの政治家にいそうだよな)、頼むから一回、丸一日のワンオペ育児を体験することをオススメする。

 やってくれ(特に政治家!)。絶対に、その後の家庭円満につながる!!(国家安泰の政策につながる!)

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