人はどうやって生きたら幸せになれるのだろう。

 数々の人生訓で多くの人を感動させ、ツイッターフォロワー80万人を持つ小池一夫の著書『人生の結論』(朝日新書)から、ストレス社会で生きるあなたへ充実した人生をおくるヒントを提案する。今回のテーマは、「反応すべき人・反応すべきではない人」について。

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 誰に反応するのか、しないのか? 日常の快・不快はこれにかかっています。

 反応すべきではない人に反応するのは不快の極みです。逆に反応すべき人に反応するのは本当に楽しいものです。

 例えば、相手から何か不快な言動をされても、自分の中で反応すべき人・すべきではない人という基準をしっかりとつくっておけば、心を乱されることが減ります。

 もちろん、人の心ですから、そのときは不快に思うでしょうが、今は反応すべきではない相手と対峙しているのだと覚悟を決めていれば、あとでその不快を引きずることは減ります。

 そして、反応すべき相手と対応しているときは、相手を尊重し丁寧な対応を心がけるのです。

 縁あって出会えた全ての人と上手く人間関係を築くことができれば言うことはないのですが、それは絶対に無理なことなのですから、この価値基準は、少しでも日頃の人間関係のストレスを減らすための手助けとなるのです。

 そして、反応すべきではない人の中には身内が含まれていることがよくあります。親子や兄弟であっても、いやむしろ、どうしても付き合わざるを得ない人間だからこそ、この価値基準が自分を守ってくれるのです。

 それは、あきらめに似た感情です。

 それでも、この人の言動に自分は反応しないと決めるのです。

 その代わり、反応すると決めた人からの言葉にはいつも注意深くなくてはなりません。それが、とても耳の痛い忠告であってもです。反応すべきは、自信をつけてくれる人、そして、自信過剰を諫めてくれる人だということです。

 まずは、反応する人と、反応しない人を見極めるだけの人を見る目を養わなければいけないのです。せっかく自分のためにあえて厳しいことを言ってくれている人を、反応すべきではない人と間違えては己の成長はありません。甘い言葉だけに反応し、厳しい言葉に反応しないのは、子どものような幼稚な甘えです。