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日本の財政を救う2本の『魔法の杖』とは?

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右から小野善康特任教授(大阪大学社会経済研究所)、原真人編集委員(朝日新聞社)、小島寛之教授(帝京大学経済学部)(提供:大阪大学社会経済研究所)

右から小野善康特任教授(大阪大学社会経済研究所)、原真人編集委員(朝日新聞社)、小島寛之教授(帝京大学経済学部)(提供:大阪大学社会経済研究所)

 政府は、経済はよくなっていると言う。確かに株価は上がっているものの、我々の生活実感はない。実際のところ、日銀の政策はうまく行っているのか?

 日本経済は1990年代を境に大きく変貌しているものの、経済政策の考え方はそれに追いついていない、と大阪大学社会経済研究所特任教授の小野善康は指摘する。2018年7月、小野教授が自著『消費低迷と日本経済』(朝日新書)でつづった内容を中心としたシンポジウムを開催した。そこで明らかにされた、リフレ政策の問題点とは。

*  *  *
 2018年夏、大阪大学中之島センターにおいて、大阪大学社会経済研究所・行動経済学研究センター主催のシンポジウム「日本経済をどう見るか」が開催された。

 基調講演を担当した小野特任教授は、近年の日本経済の成長率の鈍化や金融政策の効果の減少を、日本の成熟社会化に伴う国民の心理傾向の変化から読み解くという、特徴的なアプローチで知られている。

 講演に続くパネルディスカッションでは、日銀の金融政策の有効性、政府の財政危機問題などが取り上げられ、パネラーの一人である帝京大学経済学部の小島寛之教授は、

「安倍政権が強調するように雇用は増えていて、学生の内定率も上がっている。一方で卒業生に生活ぶりを聞いていても少しも豊かではないし、所得も上がっていない。

 日銀の内部ではリフレが成功するとは誰も信じていないという話も耳にする。現実には量的緩和政策の経済効果は何もなく、雇用が増えているのもリフレ政策とは無関係ではないのか」

 と、日銀の異次元緩和政策に疑問を唱えた。

 同じくパネラーの朝日新聞社の原真人編集委員は、

「日銀も最初は2年で2%のインフレ目標を達成すると言ったが、3年たち、4年たち、5年たっても達成できなかった。2016年9月には総括的検証を行い、もはや単純なリフレ政策では効かないということで、金融政策を見直し、10年物国債の金利を0%にすることをめざす、イールドカーブコントロールという新方式に変えている。しかし世界中で『長期金利をコントロールする』と言っている中央銀行は日銀だけ。本来できないことを『できる』と強弁し、いわば間違いを覆い隠すためにさらに間違ったことを始めている状況だ」

 と、金融政策の当事者に取材している立場から懸念を表明。

 小野教授は日銀の金融緩和が想定した物価上昇効果をもたらさない理由として、

「甘党の人はケーキ1個、2個ならおいしいと思うでしょうが、10個も20個もくれたら見るのも嫌になるでしょう。ところがお金となると話は別で、みなさんがお宅に帰って預金通帳を見てゼロが2つ増えていたら、こんなにうれしいことはないわけです。ゼロ2個が4個でも、何ならもう7、8個増えてもちっとも構わないと思いますよね」

 と、人がモノへ抱く欲望は限度があるが、マネーへの所持欲には限度がないことを説明した。


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