「この作品は建築構造学などを専門にしている田中正史講師のプロジェクトで、女子11人、男子5人のチームで制作しています。実際に施工することで建築的なリアリティーを体験し、協働することでコミュニケーション能力を高められる効果が期待できます。現在のプロジェクトリーダーは女子です」

 工学部以外にも薬学部や看護学部などの理系学部がある武蔵野大に、来春新たにデータサイエンス学部(データサイエンス学科)が誕生する。国公立である滋賀大や横浜市立大に続いて、私大では日本初だ。今度は有明キャンパスで中西崇文准教授に話を聞いた。

「ここでの学びは『ビッグデータ×人工知能(AI)×◯◯』と表現しています。ネット上で日々増え続けるSNSやウィキペディアなどの膨大なデータから、新しい価値を創造するデータサイエンティストを養成することをめざします」

 ビッグデータから価値を生み出すためには「データとAIを活用するための道筋を作る力」や「分析用のデータを構築する力」などが必要だという。同学部では統計学はもちろん、Python(パイソン)という言語を用いるプログラミングやサイバーセキュリティーなども学べる。

 AIが人間の仕事を奪うかもしれない、という不安が社会に広がるなかで、AIを使って新しい価値の創造をリードする職業がデータサイエンティスト。いわばAI活用の指南役というポジションだ。中西准教授が具体例を披露してくれた。

「私が研究している自動作曲システムでテストしてみましょう。例えば『遊園地』という言葉を入力してみると――この通り、楽しく元気の出る曲ができました」

 ネットに無数に存在する、音楽に関するビッグデータとそのコメントなどをもとに、AIが学習して作曲、ほぼ瞬時に音楽を奏でる仕組みだ。筆者が蝉とリクエストしたら物悲しい旋律になった。蝉が地上に出て1週間程度しか生きられないという知識を学習したのではと、中西准教授は分析する。事前にインプットされたデータをリピート演奏するのとは根本的に違うことがわかった。

「音楽だけでなく、ファッションやグルメなどの身近な情報からマーケティングや保険などのビジネス分野でも活用できます。『ビッグデータ×人工知能(AI)×◯◯』の◯◯部分を創造するデータサイエンティストの活躍分野はますます広がっていくでしょう」(中西准教授)

 データサイエンス学部の定員は70人。工学部と同様に文理融合型の学部としてこちらも女子に注目されそうだ。武蔵野大では模擬授業などが受けられるオープンキャンパスを8月26日(日)・27日(月)に有明キャンパスで開催する。

(文/アエラムック教育編集部・杉澤誠記)