旅行の計画もホテルの予約も全部妻の役目で夫はただついてくるだけ……。せっかくの休暇に不満を溜め込んでしまう理由とは(※写真はイメージ)
旅行の計画もホテルの予約も全部妻の役目で夫はただついてくるだけ……。せっかくの休暇に不満を溜め込んでしまう理由とは(※写真はイメージ)

 夏休みに夫婦や家族でレジャーに繰り出すとき、その計画も準備もすべて誰か1人に偏ってしまい、せっかくの休暇に不満を溜め込んでしまうケースが多いようだ。カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦間で起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「旅行の目的」をテーマに解説する。

*  *  *

 ナースとして働く美緒さん(仮名、33歳)は夫と一緒に旅行に行っても、夫が全然楽しくなさそうなことが気になっていました。

「どこ行きたい?って聞いても、君の行きたい所でいいよ、と言ってくれるんですけど、計画を立てるのもホテルを予約するのも全部私の役目で、彼はただついてくるだけなんです」

 夫(33歳、会社員)は「楽しくないなんてことないし、楽しいですよ」と否定します。

「私は積極的にどこに行きたいっていう意見はないのですが、妻にはあります。それなら妻が一人で決めたほうが効率がいいし、全体として幸福感が多くなると思っています。妻だって、自分が好きなようにプランできるのですから、何を怒っているのか、正直理解できないですよ」

 美緒さんが「一緒に旅行に行っても一人旅にガードマンが付いてくるみたい」だと言うと、夫はこう反論します。

夫:「こう言っていますけどね、私が何か希望を言っても通ることはないので、黙っているしかないんですよ」

妻:「ちゃんと調べて言ってくれれば私だって考えるけど、あなたのは単なる思い付きじゃない。この間だって、どこか行きたいところないと聞いたら、京都御所が一般公開されるから行こうって言うんです。どこで聞きかじってきたのか実際は、公開は年に数日で、1カ月以上前にはがきで申し込まなければいけなかったんです。そんなことも調べないで、思い付きを言われたって困るんです」(注:京都御所は現在、通年公開になっているようです)

 これを聞いただけでも確かに、夫の意見が通ることはなさそうですね……(苦笑)。

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西澤寿樹

西澤寿樹

西澤寿樹(にしざわ・としき)/1964年、長野県生まれ。臨床心理士、カウンセラー。女性と夫婦のためのカウンセリングルーム「@はあと・くりにっく」(東京・渋谷)で多くのカップルから相談を受ける。経営者、医療関係者、アーティスト等のクライアントを多く抱える。 慶應義塾大学経営管理研究科修士課程修了、青山学院大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。戦略コンサルティング会社、証券会社勤務を経て現職

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