記者個人のインスタグラムの写真(下)と、掲載先のサイト「漫画ネタバレ.net」のページ(現在は削除されている)。どう見ても明らかに無断使用ではないか!
記者個人のインスタグラムの写真(下)と、掲載先のサイト「漫画ネタバレ.net」のページ(現在は削除されている)。どう見ても明らかに無断使用ではないか!
インターネット上で写真の無断使用を見つけた際の対処法
インターネット上で写真の無断使用を見つけた際の対処法

 相手はこちらが写真の無断使用問題を追及している人間だと思いもしなかったのだろう? 実はこのほど、「アサヒカメラ」記者の写真が無断で使われていたことが判明したのだ。自ら書いた「対策マニュアル記事」に基づき、問題解決に踏み出した記者。本誌8月号ではその過程を克明に掲載している。浮かび上がってきたのは意外な“壁”だった――。

【ネット上で写真が無断使用されていた! 見つけた時の対処法をこちらで解説】

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 無断使用問題の多くは“匿名との戦い”である インターネット上で自分の写真を無断使用された際、どう対処すればいいか? そんな悩みに応えるべく、「アサヒカメラ」では今年3月号で「削除要請&損害賠償請求 超実践マニュアル 完全版」という特集をお届けした。

 無断使用者の連絡先がわかれば、メールを送るなどして交渉を進めることになる。だが、不正行為者というものはえてして匿名が多く、連絡先を探すところから始めなくてはならない場合が多い。

 実際、連絡先を調べてからも手間も時間もかかる作業が待ち構えている。被害者がなぜここまで大変な思いをしなくてはならないのかと腹立たしいのだが、それが現実なのだ。

 削除要請や損害賠償請求の流れをある程度マニュアル化して提示することはできても、物事はそのとおりに進むとは限らない。交渉が難航したうえに、相応の使用料や損害賠償を受けられずに終わることも少なくない。そうなると、自分が費やす時間や労力、相手への怒りの度合い、実害の内容などを総合的に加味し、どこでどう落としどころをつけて自分を納得させるかにかかってくる。

 今号では、記者の体験談も交えつつ、一筋縄ではいかない現状を模索してみたい。

■手段は「発信者情報開示請求」

 ここで、ネット上で写真の無断使用を見つけた際の対処法をおさらいしておこう。第一歩は、「無断使用者の連絡先を見つける」だ。無断使用の場がインスタグラムやツイッターなどのSNSであれば、直接メッセージを送ることができる。ところが、法人が運営する投稿型ウェブサービスやブログ作成サービス、個人や法人が運営するサイトでは、投稿者(無断使用者)が匿名だったり、サイトに管理者の連絡先が記されてなかったりすることが多いため、連絡先を調べる必要がある。

 その手段として、「発信者情報開示請求」がある。これは、著作権侵害やプライバシー侵害などのトラブルが発生したとき、被害者が無断使用の写真が掲載されているサイトのプロバイダーに対して、発信者(無断使用者)の住所、電話番号、メールアドレスなどを開示請求できるのだ。「発信者情報開示請求書」「身分証のコピー」「権利者(被害者)と発信者(無断使用者)の証拠(当該サイトを印刷したもの)」といった書類を用意し、プロバイダー側に送る。プロバイダー側は申し立てを受け、発信者に開示の可否について意見照会を行うと同時に、開示に応じるか検討を行う。

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プロバイダー側の対応によって…