サーバー会社に電話でも問い合わせてみたが、回答が覆ることはなかった。ちなみに、サーバー会社が無断使用者に対して開示の可否を確認したところ、拒否されたそうだ。

 実は相手の対応が気になっていた。記者が発信者情報開示請求の通知を待っている間に、漫画ネタバレ無料.netの当該記事が突然削除されていたのだ。まさにサーバー会社から問い合わせがあったタイミングと一致する。そこで、サーバー会社に「通知したころに当該ページを削除したということは、無断使用の自覚があったからではないのか?」と聞いてみたところ、

「無断使用していなくても、無用なトラブルを回避するために自主的に削除したという可能性もあり、削除=無断使用を認めたとは言えない」

 との答えが返ってきた。

 記者がスマホで撮影し、自分のインスタグラムアカウントにアップした写真であることには間違いないが、自分のアカウントであることをどう証明すればよかったのか。

 また、漫画単行本を並べて撮っただけであるため、「著作物性があるとは言えない」と言われれば強くは反論できないが、「自分なりに工夫して撮ったのに」というすっきりしない思いがある。

 結局、相手の連絡先はわからずじまいで交渉もできないため、記者による無断使用者への追及はここまで。相手を追い詰めるどころか、やるせない気持ちだけが残った。

(文/吉川明子)

※「アサヒカメラ」8月号から抜粋