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W杯は惨敗路線も…乾貴士が見せた“小さな光明”【河治良幸】

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乾貴士 (c)朝日新聞社

乾貴士 (c)朝日新聞社

 スイスの中盤は日本の4−2−3−1と同じ正三角形で、左右のサイドバックも守備時は中央に寄る傾向がある。そのため、タイミングよくサイドにボールを振れば、サイドハーフやサイドバックの選手が前を向いて受けることができ、相手陣内の高めの位置にチャンスの起点を作ることができるのだ。

スイスはもちろん、本大会で対戦するコロンビア、セネガル、ポーランドの三カ国もサイズの大きなセンターバックを擁しており、単純にクロスを上げるだけでは厳しいが、乾は「そこでアイデアを使えばいい」と語る。

「(相手は)高いボールには強いですけど、速い低いボールにはもしかしたら強くないかもしれないので、そういうのも考えないといけないと思いますし、全部が中だときついと思うので、まあそのへんのオプションだったり、自分たちでいろいろ考えていかないといけない」

 サイドを起点にしたところから相手のディフェンスを崩すには、シンプルなクロスだけで終わらないアイデアが大事になるが、乾が指摘するのはそれ以前に攻撃がセンター寄りで狭くなり、相手のディフェンスの網にかかりやすくなってしまっていることだ。そうなると、縦パスを出そうとしても通りにくいし、中央突破からシュートに持ち込むことは困難を極める。

 乾のプレーからはそうした状況を打開しようとする意識が見て取れた。その乾は「もうちょっと中に入れたのかもしれないですけど、チーム全体として狭すぎる傾向があるので、どう行ったって誰かが広くやらないといけない」と語り、もともとボールを触るのが好きな選手ではあるが、攻撃の幅を取るためにあえて左サイドに張るポジションを取っていたことを明かした。

「練習からずっと思って、言っていますし、それがチャンスになるというのは分かることなので。狭いところだけだと相手もなかなか崩れないですし、サイドに揺さぶった時がチャンスになるので、自分だけじゃなくて(長友)佑都君も分かって2対1になるという状況が増えるので、そういうことをやっていければ、いい崩しができる」

「言わないよりは言った方がずっといい」と語る乾は、攻撃の方針を決めるのは監督と認識しながらも、チームの攻撃が狭くなる傾向を問題として今後もチーム内で発言していくという。そうした問題は実際に現象として表れていたが、その問題点に気付いている選手が練習やミーティングから強調していくことで共有につながる望みもある。

 問題はそれだけではないので難しいが、改善していくべき大きなテーマの1つであることは間違いないだろう。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行予定。


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