さらに『アメトーーク!』で伊達が披露した「カロリーゼロ理論」も話題になった。「カステラは圧縮すれば小さくなるからカロリーゼロ」「ドーナツは真ん中に穴が空いているからカロリーゼロ」などと真顔で言い放ち、食べ過ぎてしまう自分を強引に正当化する姿が笑いを誘っていた。

 また、彼らは人柄の良さで愛されているという面もある。外見は怖そうにも見えるのだが、実際には2人とも気が優しく、それがテレビ越しにも伝わってくる。芸人であれば、ときにはわざと他人をくさして笑いを取ることもあるものだが、サンドウィッチマンの2人はめったにそういうことをしない。

 どちらか一方があえて他人をイジるときには、必ずもう一方がフォローに回り、嫌な空気を作らないようにしている。他人を傷つけるようなことを一切やらないクリーンなところも万人に愛される理由の1つだろう。

 コンビ芸人は人気が出てくるとどちらか一方が単独で活動することも増えていくことが多いものだが、サンドウィッチマンにはそれがなく、今でもコンビでの活動がメインになっている。その理由は、2人の仲が良く、コンビで出ているときに最も力が発揮されるというのを誰もが分かっているからだ。

 ネタの中では富澤がボケを担当しているが、2人でバラエティ番組などに出ているときには伊達の方が積極的にボケたがるようなところもあり、そういうときには富澤がすかさずツッコミに回る。その場に応じてどちらもボケ・ツッコミを使い分けられる器用さがあるからこそ、コンビとして重宝されているのだ。

 ちなみに、「好きな芸人」ランキングで彼らと同様に上位に食い込んでいるのが博多華丸・大吉である。「博多華丸・大吉」は5位、「博多大吉」が6位に入った。

 サンドウィッチマンと博多華丸・大吉に共通しているのは、どちらも地方出身でガツガツしていない上品な芸風だということだ。また、コンビの仲が良く、ネタの面白さで評価されているという点も共通している。さんま、たけし、タモリの「お笑いBIG3」が「好きな芸人」ランキングで上位を占めていた時代は終わりつつあり、これからは彼らの時代が来るのではないか。(ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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