結愛ちゃん虐待死「ひどい親」と批判しても事件は減らない 「評価」に追い詰められる親たち (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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結愛ちゃん虐待死「ひどい親」と批判しても事件は減らない 「評価」に追い詰められる親たち

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金城珠代dot.#出産と子育て
船戸容疑者と結愛ちゃんが暮らしていた部屋のベランダには、カラフルな洗濯ばさみが並んでいた=東京都目黒区東が丘(撮影/澤田晃宏)

船戸容疑者と結愛ちゃんが暮らしていた部屋のベランダには、カラフルな洗濯ばさみが並んでいた=東京都目黒区東が丘(撮影/澤田晃宏)

8日に送検された船戸雄大容疑者(C)朝日新聞社

8日に送検された船戸雄大容疑者(C)朝日新聞社

 病院は、児童相談所に虐待通告もしている。児童相談所とのやりとりだけでなく、地元の様々なつながりや細かな動きがどの程度、品川の児相へ共有されていたのか。この家族は何に苦しみどんな精神状態なのか、何を支援すればいいのかという視点でケアが入っていたようには見えません。結果論ですが、そうした病理性の高い家族への危機感が不足していたように思えます。その結果、地域を超えての移動が、孤立化を非常に深め 、1カ月半という短期間で急激に状況を悪化させた事件にも思えます」

 一時保護された子どもの95%が在宅に戻るという現状がある。児相は在宅に戻すと判断したのであれば、地域の力を使って親の子育てを積極的にサポートする必要がある。遠距離間の移動の場合、その地域と家族の関係性をも理解した上での情報が、単純な書類のやり取りで伝えられるのか。遠距離の地域間の連携の難しさと重要性を感じさせる事件だと思われる。

 一方、杉山さんが違和感を持つのは結愛ちゃん本人が覚えたての平仮名で書いた“反省文”を警視庁が唐突に公表したことやその報道の仕方だったという。

「なぜ、このタイミングの公表だったんでしょうか。子どものいたいけない言葉は、人の心を掴みます。しかし、それは同時に、親を責める声にすぐに変わっていく。うまく子育てができない親を責める社会の声を私は感じてしまいます。親が横にいて書かせたのか、どんな状況で書かれたものかわらかないけれど、過剰に良い家庭でなければならない、良い子に育てなければいけないと親も追い詰められていたことが見て取れます。今、子育てに苦しむ家族はこうした情報の出方に苦しめられるのではないかとの不安も感じました。この反省文を公表する場合、そこで起きる虐待の仕組みへの理解を促す報道も同時に行われて欲しいと感じます」

 杉山さんのこれまでの取材では、「どうしようもない親」「不真面目」という社会的なレッテルに反して、虐待する親は「外から評価されたい」「頑張らなければ社会に受け入れられない」と考えている生真面目で弱みを見せられない孤独な人が多いという。


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