グラウンドで起こった恐怖の“暴力事件”  刑事事件に発展する事例も…

2018/06/01 16:00

近鉄・デービス (c)朝日新聞社
近鉄・デービス (c)朝日新聞社

 2018年もシーズンを大きく左右する交流戦が始まり、贔屓のチームの勝敗が毎日気になる今日この頃だが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、80~90年代の“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「グラウンド上の暴行編」だ。

*  *  *

 1982年8月31日の阪神vs大洋(横浜)は、集団暴行に怒った審判団が総引き揚げをするという異常事態になった。

 事件の発端は、1対1の同点で迎えた7回表。阪神は先頭の藤田平が三塁前に当たり損ねの飛球を打ち上げた。

 だが、サード・石橋貢はフラフラと上がった打球の目測を誤り、捕球に失敗。ボールは一度フェアグラウンドに落ちた後、ファウルグラウンドに転がっていった。

 鷲谷亘三塁塁審は「石橋の体に触れていない」ことを理由に「ファウル」と判定したが、これに対し、阪神・安藤統男監督とコーチ陣が「グラブに触れた。フェアだ」と猛抗議。三塁ベース後方で小競り合いが続いた。

 そんなヒートアップした状況下で、島野育夫コーチが鷲谷塁審の胸に2発、3発とパンチを浴びせた。その場にうずくまった鷲谷塁審を見た岡田功球審が島野コーチに退場を宣告すると、今度は柴田猛コーチが岡田球審を殴る蹴るの暴行に及んだ。

 右胸などを強打された岡田球審は悔しさのあまり、プロテクターをグラウンドに叩きつけ、「暴力団相手とは(野球が)できない」と全審判を控室に引き揚げさせた。前代未聞の「暴力行為による没収試合」も辞さない覚悟だった。

 しかし、安藤監督が控室を訪れ、帽子を脱いで平身低頭謝罪すると、ようやく軟化し、両コーチの退場処分で10分後に試合再開となった。

 この日は4回にボーク判定をめぐって試合が8分間中断。5回にもストライク、ボールの判定トラブルがあるなど、これらに対する不服が事件の伏線になっていたようだ。

 審判団から報告を受けた鈴木龍二セ・リーグ会長は、両コーチに無期限出場停止と制裁金10万円を科した(翌83年に球界復帰)。

 試合終了後、神奈川県警が傷害事件として捜査を始めるなど、刑事事件に発展したという意味でも、社会に大きな衝撃を与える事件として記憶されている。


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