ただ、オヤジ道にも、越えてはいけない一線がある。それは「人を不快にさせてはいけない」だ。老若男女、誰も不快にさせてはいけない。駄洒落を聞かされてあんぐりしたとしても、不快には思わないはずだ。ん、思うかな。思うかも。ごめんよ、弓削と公輝。

 なんにせよ、著しく不快に感じるオヤジアクションは撲滅すべきだ。オヤジアクションってサカナクションみたいだが、それはともかく、愛すべき、「おもろオヤジ」になろうではないか。

 いま誰に呼び掛けたのかイマイチ分からんが、この「おもろオヤジ」になるために、前述のテーマが必要となる。そう、「精神年齢が低い」と「オヤジくささ」の共存である。

 年相応の落ち着いた、分別のある、高い精神年齢で放つオヤジアクションはタチが悪い。なんというか、ツッこむ余地がない感じがする。この「ツッコミの余白」が重要で、「おもろオヤジ」の「おもろ」を生み出す。小学3年生程度の精神年齢はそれ自体が「ツッコミどころ」で、それが「おもろオヤジ」の種子となる。

 結局、強引に自分を正当化したみたいになってしまったが、AERA dot.をご覧の男性諸氏、人を不快にさせない「おもろオヤジ」なら、オヤジを恥じるな。そして女性の皆様、「おもろオヤジ」を許して。どうか笑って許して。特にウチの嫁、ホントゆるちて。(文/佐藤二朗)

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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