【2位:ひよっこ(2017年上期)】

 ヒロインみね子(有村架純)をはじめ、「普通の人」しか出てこない。東京オリンピック直前の1964年に始まり、そこから4年が描かれた。

 北茨城村の高校を卒業し、集団就職で上京して勤めた工場が倒産し、縁あって赤坂の洋食店で働くみね子。出稼ぎ先の東京で行方不明になった父の代わりに、農家である実家に仕送りをする。料理を運び、恋をし、別れ……そんな毎日を積み重ね、成長していく。

 一生懸命生きる以外に成長する方法などないのだと再認識させられる。「成長するためにどうするか」をプレゼンさせられるような現代に生きる若者の苦しさに思いを馳せる。

 イチ押しは、みね子のおじさん・宗男(峯田和伸)。お正月、実家に帰ってひたすら眠り続けるみね子を見て、「心も使ってるんだな。都会的でカッコいいな」とつぶやく。働く女子を肯定してくれる、ステキな台詞をいっぱい口にする。威張らない、差別しない、女子に効く人だ。

【3位:あまちゃん(2013年上期)】

「じぇじぇじぇ」をはやらせ、「あまロス」が社会現象とまで言われた作品を3位にしたのは、ヒロイン・アキを演じた能年玲奈が、のんになってしまい、大人の事情を思わずにいられない後日談ゆえ。作品そのものは「ひよっこ」と甲乙つけがたい。脚本家・宮藤官九郎の男と女をヒョイっと超えた感じが、軽くて明るい空気になっていて、とてもよい。

 東京から北三陸にやって来たアキと、アイドルを目指して夢破れた母の春子(小泉今日子)と、海女であるその母・夏(宮本信子)。3人を通し、宮藤はいろんな「かくあるべし」を打ち破ってくれる。例えば春子は、自分の娘であるアキに、「バーカ」「ブース」と言う。けれど小泉が演じるから、それが愛情の表れだとわかる。

 アイドルになったアキのマネージャー・水口(松田龍平)は、アキを「おまえ」と呼ばず「君」と呼び、呼び捨てにせず「アキちゃん」と呼ぶ。「男かくあるべし」と関係ない、ぶっきらぼうで、脱力系で、カッコいい水口に胸キュン。

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4位はチャーミングなあの人がモデルの…