例えば、大好物というイメージがあるにんじんには糖分が多いためあげすぎが厳禁であることや、「うさんぽ」と呼ばれるうさぎの散歩がうさぎにとって大きなストレスになることなど勘違いや知られていないことが多い。この情報不足がうさぎユーザーを苦しめる一因になっている事は間違いなく、残念ながらイメージと現実のギャップを受け入れられずうさぎを手放す飼い主も少なくないそうだ。田口さんが飼っているうさぎも元はお客さんのペットだった。

「預けに来た大学生の飼い主さんが『もう要らない』って言って置いていったんです。バイトとか勉強で忙しいというのが理由でした。衝動買いだったんですね。本来は受け取らないんですが特別に引き受けたんです」

■「うさぎは手間がかからない」は間違い

 田口さんによればイメージと違うことで飼育放棄する人が後を絶たたないという。

「うさぎと暮らすことで得られるメリットだけでなくデメリットも知るべきだと思います。自分の生活環境でベストパートナーになれるのかを判断するために事前に勉強したり専門知識のある人と相談してほしいですね」

 年齢を重ねれば病気になりがち。治療でかかる思いがけない出費や介護するにあたって発生するさまざまな生活の制約を全てを受け入れる覚悟が必要だ。

「これはうさぎに限ったことではなくて、命あるペットを受け入れるということは簡単ではないですし、 都合のいいおもちゃでないということを改めて考えてほしい」

 飼育放棄する人がいる一方でうさぎがとてもデリケートで手間がかかり、将来的に介護をすることを理解し受け入れたうえで飼い続ける人は多い。田口さんはその理由を「うさぎが見せる予想だにしない行動」にあると言う。

「犬の行動っていろいろな所で見ているからなんとなく想像がつきますよね。うさぎは飼い始めた頃に持っていたイメージを越える行動をします。おなかを見せて寝たり耳を毛ずくろいしたり、ご機嫌がいいと垂直跳びや華麗なひねりジャンプも見せてくれます。見るもの全て初めてなんですね。一緒に生活をすればするほど惚れますよ」

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飼う前に考えるべきこと