バナナマンの日村勇紀 (c)朝日新聞社
バナナマンの日村勇紀 (c)朝日新聞社
日村勇紀と結婚した神田愛花アナウンサー (c)朝日新聞社
日村勇紀と結婚した神田愛花アナウンサー (c)朝日新聞社

 4月8日放送の『金曜JUNKバナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)の中で、バナナマンの日村勇紀がフリーアナウンサーの神田愛花と結婚したことを発表した。以前から交際中であることを認めていた2人が、ついにゴールインを果たした。

【写真】NHKアナウンサー時代の神田愛花

 世間では、個性的なルックスの日村と才色兼備の女子アナである神田との関係について「美女と野獣」「格差婚」のように捉える人もいるかもしれない。だが、実際のところ、業界内では日村のことを悪く言う人はほとんどいない。芸人としても人間としても優れている彼のことを敬愛する人は大勢いる。

 デビュー以来、設楽統とのコンビでコントを続けてきた日村は、芸人としての演技力を高く評価されている。コントを演じるのに必要な能力は、プロの俳優が備えている演技力とは似て非なるものだ。日村は「面白く演じる力」が高いのである。

 若手時代の有名なエピソードがある。現在、構成作家としてバナナマンのライブにも携わっているオークラは、かつては芸人として活動していた。面白いネタを書く自信はあったのだが、それを自分が演じてもなかなか面白くならないことにもどかしさを感じていた。

 あるとき、日村にその台本を読ませて軽く演じさせてみたところ、同じ台本とは思えないほど面白く感じられたことに衝撃を受けた。このときの体験から、オークラは「演者としてこの人には勝てる気がしない」と思い、芸人から作家に転向することにしたのだという。

 全く同じ台本でネタを演じてみても、それが面白くなる人と面白くならない人がいる。日村は面白く演じることにかけて圧倒的な才能を持っていた。バナナマンはテレビに出られるようになるまでには時間がかかっているが、ライブシーンでは早い段階から「面白いコンビがいる」と認められていた。それは、設楽のネタ作りのセンスとそれを演じる日村の表現力が当時からずば抜けていたからだ。

『ゴッドタン』(テレビ東京)の「芸人マジ歌選手権」という企画では、日村が「ヒム子」というオネエキャラになりきってベタベタのアイドル風の新曲を披露するのが定番になっている。奇抜な衣装をまとい、キレのある動きと表情の面白さで爆発的な笑いを生み出していく。力尽くで見ている人を巻き込んでしまうことができる。いわゆる「フィジカルが強い」タイプの芸人なのだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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