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大坂なおみ、躍進の陰にあったバヒンコーチの「納得させる力」

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内田暁dot.
成長著しい大坂なおみ(右)を影で支えるバヒン氏(左)(写真・Getty images)

成長著しい大坂なおみ(右)を影で支えるバヒン氏(左)(写真・Getty images)

 3年前……元世界1位のビクトリア・アザレンカが、セリーナ・ウィリアムズのヒッティングパートナーを自身のそれとして雇ったことが大きく報じられた時、なんとなく不思議に思った記憶がある。トップ選手のコーチの去就や動向は、テニスの世界では何かと話題になりやすい。それがライバル選手間ともなれば、なおのことだ。だが、ヒッティングパートナーがそのような形で話題になることは、滅多に無いと言って良かった。

【写真】強力なリターンを打つ大坂なおみ

 もっとも、セリーナは姉のビーナス以外の選手と練習することはなく、その女王の練習相手を8年間務めたのが、件のヒッティングパートナーなのだ。その技量や人間的度量、そしてツアー選手の情報量が極めて高いであろうことは、想像に難くはなかった。

 昨年、その人物がやはり元世界1位のキャロライン・ウォズニアッキのチームに加わったことにより、彼への評価は確固たるものになる。何しろ彼がヒッティングパートナーを務めていた間に、アザレンカはケガによる低迷時期を脱してトップ5に返り咲き。ウォズニアッキも昨年は、WTAツアー最終戦を制するなど、キャリア最高と言って良いシーズンを送ったのだ。

 その“若き優勝請負人”サーシャ・バヒンが、初めて“コーチ”の肩書を得て今シーズンから指導にあたるのが、大坂なおみである。セリーナに憧れ、セリーナを彷彿させるプレースタイルを引っさげ頂点への階段を駆け上がる、女王候補の20歳だ。

 ぜい肉の一切ない引き締まった長躯で、形の良い顔の上には、綺麗に櫛の通った金髪が分け目正しく乗っている。爽やかないでたちのバヒンコーチは、テニス会場で「話を聞かせてもらえますか?」と声を掛けると、「もちろん」と笑顔で応じてくれる好人物だ。

 何を尋ねても回答は明瞭で、口調はどこまでも柔らかい。時折冗談も織り交ぜ、場を和ませる話術も巧みだ。そうして話を聞いている短い間にも、多くの選手やコーチから声を掛けられ、その度に短く談笑しては、こちらに向き直り「申し訳ありません」とまた爽やかに笑う。彼には人を惹きつける、人間的魅力が溢れている。

 バヒンが大坂を急成長させたのも、その話術や人心掌握術によるところが大きいだろう。バヒンが昨年末にコーチに就任した時、真っ先に取り組んだのが「ネガティブになりやすい、なおみのメンタリティを変えること」だった。技術や戦術面でも、焦らず打ち合うことや、フォアの打ち方など「多少の助言は与えた」という。ただ彼は、「そのような技術的な助言や、対戦相手の分析ができる人は自分以外にもたくさんいます」という。



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