浅田が動物愛護活動を始めたきっかけは、2001年。母が亡くなり落ち込む浅田を包み込んでくれたのが、二匹の愛犬だった。

「家に引きこもりがちだった私をずいぶんと支えてくれたのが、飼っていた二匹の犬だったんです。お散歩に連れて行ったり、『ご飯だよ』と口をきいたりすることで、徐々に私は立ち直ることができました。その1匹が亡くなった時に、何か恩返しできないかなと思って、初めて保護犬を引き取ってみました」

 こうして浅田はペットが置かれている境遇を学んでいった。しかし、次々と「知られざる現実」が目の前に立ちはだかる。

 ある日、悪徳だとされる繁殖業者の元を訪ねた浅田は、あまりに悲惨な状況に開いた口が塞がらなかったという。

「ふん尿にまみれて、積み重なった狭いゲージに詰め込まれた犬やたちがいたんです。お散歩も、なでてもらうこともしてもらえない、かわいそうに……。おやつを知らなかったことにはもっとびっくりしました。ジャーキーをあげようとしたら『えー、なにこれ』と怯えていました。そこに800頭もいるなんて……」

 繁殖業者のビジネスが最優先になっている証左である。

病気にかかっても放置されたまま。なるべくお金をかけず、子どもを産めることさえできればいいという業者の考えにどうしようもなく落ち込みました」。

 「子どもを産む道具」という運命に抗えない、使い古された親たちの子犬や子猫が、一部のペットショップで売られている。

 前回の動物愛護法改正では、こうした現状があるにも関わらず、それを規制する法律は実現しなかった。浅田が今年の法改正で盛り込むよう特に強く訴えているのは、3つの点だ。

「1つめは繁殖業者に対しての免許制。明日、私が繁殖業者になりたいと言ったらなれるんですよ?これだと、悪徳な繁殖業者が増えるばかりです。繁殖業者でのケージの大きさなどの細かい数値の規制も必要です。身体を伸ばして寝ることができない犬がいっぱいいるんです。背骨が曲がっている子もいました。 2つめは生後8週齢規制。産まれたばかりの子犬や子猫を親からすぐに引き離すと問題行動を起こしてしまうんです。

 3つめは虐待に対しての厳しい刑罰。物扱いである今の法律では刑が軽すぎます。そして、所有権が立ちはだかり虐待されている子を救えません」

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