――『空海』の役作りはどのようにされましたか

 空海さんですからね、高野山では今でも瞑想されてますし、まるで雲をつかむようなといいますか、なかなかイメージを掴むことが難しかったですね。そこで、まず形から入ろうとなるべく早めに髪の毛を剃ってみました。その後は、セリフやト書きはできていたので、空海さんとしてその場に立てるよう、教えに関したものをとにかく読んで「あ、この考え方はこのセリフに活かせるな」というところをピックアップしていきました。

 空海さんを突き詰めていくと人知を超えた超然とした存在になりそうなんですけど、この作品はエンターテインメント映画なんですよね。監督からもチャーミングな空海さんにしてくれと言われまして、魅力的な空海さんをどうエンターテインメントに落とし込むかというのは、本当に大変でした。

――チェン・カイコー監督の印象は?

 チェン・カイコー監督とは、モニターの前でよく話しをしました。そして「この演技は非常に感情が出ているが、手はこの位置がよかった」とか「手の位置はバッチリだったけど、演技は前の方がよかった」とかモニターを止めてコマ送りで確認しながら本当に細かく指導が入りましたね。「今の動きは、3コマ遅らせてくれ」とか。

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