1200年以上前、遣唐使として中国・唐へ渡った若き天才僧侶・空海が都で起こる怪事件の謎に迫る映画『空海―KU-KAI―美しき王妃の謎』で、主人公の空海を演じた染谷将太さんに、映画の魅力と撮影の裏話をお聞きしました。

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――初めてオファーを受けたときのお気持ちは?

 企画の存在は知っていましたが、自分にオファーがあると思っていなかったので驚きました。主演した映画『寄生獣』を、チェン・カイコー監督が気に入ってくださったようです。

 共演者に日本人がいない環境で5カ月暮らすというのも、あまり不安には感じませんでしたね。撮影というのは、行っちゃえば終わるものなので。それより光栄でしたし、やるしかないなと。

 白楽天役のホアン・シュアンさんが相棒役で、本当に長い時間一緒にいたんですが、彼がすごくジェントルで、いろんな部分でサポートしてくださり、すごく助かりました。彼がいなかったら撮影を乗り切れなかったと思います。周囲に自然に気を使うことが出来る方で、ホテルの部屋に入ったらワインが届いていたんですよ。イタリア人じゃないんだからっていう、でもそういうことをサラリと出来る方なんです。お互い文化が違うからこそ、お互い分かりあおうとして、より深くなれた感じでしたね。

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『空海』の役作りはどのようにした?