ファンレター、ラブレターも定番のようだが、もっとセクシーなギフトをもらった選手もいる。

 2014年ソチ五輪で男子シングル銀メダルに輝き、今大会では団体戦での金メダルに貢献したパトリック・チャン(カナダ)が過去に降らせた“雨”は、女性用下着だった。カナダ『CBC Sports』によればファンが「パトリックにパンティーを」というキャンペーンを展開したときのことで、本人は「もしかしたらジャッジのトレンドに新風を巻き起こすかもね。どれだけいいパフォーマンスだったのか、枚数を見れば分かるようになるかも」と冗談で応じていた。なお、チャンによればそれらの下着は「未使用だった」とのこと。

 1994年リレハンメル五輪と1998年長野五輪の男子シングルで銀メダルに輝いたエルビス・ストイコ(カナダ)も米『ESPN』に対し「ランジェリーが飛んできたことがあるよ。ある大会でショートプログラムのあと、パンティーがリンクの上に落ちてきた。次の夜、ロングプログラムのあとは上が飛んできた。電話番号と名前つきだった」と告白。こちらはチャンの場合よりも“本気”のアプローチだったようだ。

 ランジェリーはともかく、真剣勝負の場がプレゼントで埋まるという光景は、ほかのスポーツファンの目には異様に映るかもしれない。実際、米国フィギュアスケート協会(USFSA)は1988年、インタビューエリアについて「かわいらしいフラワーガーデンというより、スポーツの場であるというイメージ」を約束したいとし、花の投げ込みを遠慮するよう求めた。USFSAは2001年にも、同時多発テロや炭疽(たんそ)菌事件を踏まえて花の持ち込みを禁止し、小さなぬいぐるみ(検査済みのもの)の投げ込みを許可した過去がある。

 散った花弁などの異物はリンクを汚し、傷つけるだけでなく、選手にとっても危険となり得る。また、いい年をした男女にぬいぐるみをあげてどうするのかという疑問も湧くが、現在では花を投げ込む際は花弁が散らないよう、セロハン紙などで密封することがルールとなっている。選手たちももらったぬいぐるみは大会が行われた地域の施設や病院などに寄付しており、そこで子どもたちとの交流も生まれているようだ。

 リンクへのプレゼント投げ込みは、選手の演技に感動したファンが敬意を示して行うものだ。昔は花束に釣り糸をつけ、選手が拾おうとしたときに引っ張るというジョークもあったようだが、今それをするファンはいまい。ルールとマナーを守った範囲で行われるのなら、プレゼント投げ込みはこの先もほほ笑ましい光景として続くだろう。