高梨とともに2枚看板に成長した伊藤有希もメダルの有力候補。23歳の伊藤は早くから頭角を現していた元祖“天才少女”。2つ年下の高梨が現れたことで目立たなくなってしまったが、昨季、地元札幌で開催されたW杯で初勝利を飾ると、一気にシーズン5勝を挙げた。特にシーズン最終戦となるオスロ大会では、高梨が圧倒的な強さを見せつけてきたラージヒルで優勝し、W杯総合も自己最高の2位に食い込んだ。

 昨年の世界選手権でも高梨を抑えて2位に入り、2大会連続で銀メダルを獲得した。

「大きい大会なるとすごく気持ちも盛り上がる。まわりもすごく気合が入っているのがわかるので、自分もそれにつられて、気合を入れさせてもらっています」と言ってのける心臓の強さは頼もしい限り。所属先では45歳にして世界トップレベルで渡り合っている葛西の教えを受けており、その意味は大きいはず。

 金メダルの最右翼はやはりルンビで、追う1番手がアルトハウス、次いで高梨、伊藤という構図だが、日本勢のライバルは2強だけではない。

 五輪前最後のW杯でけがから復帰すると同時に優勝を飾ったダニエラ・イラシュコは、34歳の大ベテラン。2011-12シーズンにW杯がスタートするまでは女子選手の最高峰の大会だったコンチネンタルカップで通算49勝を挙げており、女子ジャンプ界の第一人者であり功労者だ。

 また、4年前に五輪初代女王に輝いたカリナ・フォクト(ドイツ)は、W杯2勝ながら世界選手権も2連覇中と大舞台になると異次元の強さを発揮するだけに要注意の選手。

 男子ジャンプに比べるとメダル候補は絞られるが、採用から2回目を迎える今大会は間違いなくレベルもアップしている。そこに高梨と伊藤が食い込み、Wメダルとなるか。