グループB内でも、開催国枠で出場するコリア(韓国と北朝鮮の合同チーム。世界ランクは韓国22位、北朝鮮25位)以外はすべて日本(9位)より世界ランク上位国(スウェーデン5位、スイス6位)であることを考えると、メダル獲得は決してたやすいことではない。しかし、チーム全体でフィジカルの強化に取り組んできた日本チームには自信があふれている。

 平昌五輪前最後の実戦となった壮行試合(東京、1/24-30)を4連勝で終えた後のミックスゾーンで、主将の大澤ちほは確信に満ちた口調で語った。

「本当にソチの時のチームとは、環境も状況も全然違うと思います。ソチの時は“オリンピックに出るチーム”でしたけど、平昌に行く今はもう“メダル争いができるチーム”になっていると思うので、その自覚を持って戦ってこられたらと思います」

 スコアリングチャンスが多くないことが予想される五輪の戦い。山中武司監督の代表選手選考基準は“守りで計算ができる選手”だという。中でも、最後の砦であるゴールキーパー(GK)の堅守は必須だ。日本には、2015年の世界選手権でベストGKを受賞している守護神・藤本那菜がいる。2015-16シーズン、現在“二強”とされる米国・カナダ代表選手が多数所属する世界初の女子アイスホッケープロリーグ「NWHL」でプレーし、守りに磨きをかけてきた。藤本の口調にも自信がにじむ。

「実際にシュートを米国代表・カナダ代表の選手から受けてみて、まったく止められないということはないんだな、と。スピードもリバウンドのフォロースピードもついていけましたし、ポジションさえしっかりと正確に取っていれば、8割、9割は防げるんだなと実感した」

 たくましく攻め、世界トップレベルのGKを中心に堅く守れば、表彰台への道が開けてくるかもしれない。そしてその先には、日本のアイスホッケーの明るい未来がある。(文・沢田聡子)

●プロフィール
沢田聡子
1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」