村田諒太 (c)朝日新聞社
村田諒太 (c)朝日新聞社

 プロボクシングWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)が、4月15日に初防衛戦を行うことを発表した。現在のボクシング界でも知名度が高い村田は今回、1万6000人を収容できる横浜アリーナという大舞台で、挑戦者を迎え撃つこととなった。

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 村田と言えば、今では日本を代表するボクサーだが、決してエリート街道を進んできたわけではない。荒れていた中学時代からの恩師に進められてボクシングを始め、そのまま高校生時代は国体などで5冠を達成。しかし、高校3年生のとき、最後の国体への出場を逃すなど苦い思いを経験した。その後、ボクシングの強豪校である東洋大学に進学するも最終的に北京オリンピック(2008年)への出場権を逃し、一度は引退をするなど、少なからず苦汁を舐めてきた。その後、ロンドン五輪(2012年)で金メダルを獲得したのは周知の通りだ。

「実は、村田の売り出しに関しては協会を含めて、かなりの投資をしていた。アマチュア時代は注目度も低く、ロンドン五輪でチャンピオンになったことで初めて世間から注目を浴びましたからね。しかも今のボクシング界ではアマチュアからプロに転向するのには相当ハードルが高い。村田もプロ転向には紆余曲折があったことは一般にも知られているでしょう」(スポーツ紙のボクシング担当記者)

 村田の試合を有名になる前から放送してきたのがフジテレビだ。無名だった村田に期待をかけ、放送枠を確保してきたという。同局関係者は「社内でも『なぜ?』という声があったのも事実です。なかなか視聴率も振るわないなかで、踏ん張った結果、ようやく成果が出たと思っています」と証言する。プロへの転向もフジテレビが積極的に働きかけた結果だった。

「プロへの転向もフジテレビが積極的に後押ししたのですが、当初、村田は引退後に面倒を見てくれた東洋大学への配慮もあってか、プロ入りを断固拒否していたんです。しかし、帝拳ボクシングジムとフジテレビ、そして電通が説得し、プロに転向させたという経緯がある。昨年の試合後の勝利インタビューで、この3者の名前を挙げて感謝の気持ちを述べていた。帝拳ジムは、実は日本テレビとの関係が深いので、当初、村田はフジテレビと仲が良い三迫ジム所属になり、実際の練習は帝拳でやる、っていうちょっと変則的な形が続いてました。現在では、帝拳ジムの所属になっています」(前出のスポーツ紙記者)

 そんなフジテレビは、過去の人気番組「ジャンクSPORTS」を8年ぶりに復活させた。そのなかで注目されているのが村田のトーク力だ。

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哲学者ともトークできる読書家