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 9月18日のソフトバンクvs西武(メットライフドーム)は、両チーム合わせて34安打27得点という大乱戦の末、西武が14対13で逆転サヨナラ勝ち。14得点のサヨナラ勝ちは、過去8度あった13得点を抜いてパリーグ新記録となったが、試合を決めた一打もB級ニュースファンなら必見の“珍打”によるものだった。

 10回に1点を勝ち越された西武は、森友哉の右前タイムリーで13対13の同点に追いつき、なおも1死一、二塁のチャンスで、金子侑司が右打席に入った。

 ところが、ソフトバンクのリリーフ左腕・モイネロが3球目を投げた直後、左肘の張りを訴えて緊急降板したことが、“サヨナラ珍打”への布石となった。急きょ、右の寺原隼人がリリーフのマウンドに上がると、スイッチヒッターの金子侑は左打席へ移動。フルカウントからの8球目(寺原の5球目)を鋭く振り抜くと、左翼フェンス直撃のサヨナラ二塁打に。

 カウント途中で右から左に打席を移動しての殊勲打は、まさに“芸は身を助く”。本人も「忙しかったけど、スイッチやってて良かった」とまんざらでもなさそうだった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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