一打逆転サヨナラのチャンスが、「あれ、一体何があったの?」と思わず目が点になるようなプレーで、一瞬にしてゲームセットとなったのが、8月6日の中日vs巨人(東京ドーム)だった。

 1点を追う巨人は9回裏、この日史上最多の950試合目のマウンドに上がった岩瀬仁紀から四球と安打で1死一、二塁。そして、坂本勇人の痛烈な当たりが右中間へ。惜しくもセンター・大島洋平に好捕され、2死となったが、通算2000本安打まであと「6」に迫った4番・阿部慎之助に打順が回ってきた。

 阿部の快打を期待してスタンドのG党のボルテージが最高潮に達した直後、信じられないような幕切れが待っていた。

 突然、岩瀬がクルリと阿部に背を向けると、ボールを二塁に送球。「アウト!」。有隈昭二二塁塁審の右手が高々と上がり、何ともあっけないゲームセット……。

 実は、代走の一塁走者・重信慎之介が坂本の中飛のときに二塁を回っていたにもかかわらず、帰塁の際に二塁ベースを踏んでいなかったのだ。

 一部始終をしっかり見ていたファースト・ビシエドがアピールし、岩瀬からボールが二塁に転送されたというしだい。

「あんな終わり方は初めて。何となく二遊間の2人が呼んでいるなと」(岩瀬)

 ビシエドのお蔭で、節目の登板試合を勝利で飾り、自らが6月23日の巨人戦(東京ドーム)で更新した42歳7カ月のセ・リーグ最年長セーブの記録をさらに1カ月塗り替えるといううれしいオマケも付いた。

 そして、開幕戦で坂本の故意落球による併殺プレーに元メジャーリーガーのプライドを傷つけられたビシエドも、ようやく一矢報いることができたのである。

 三本間に挟まれた走者が「鬼さん、こちら、ここまでおいで!」とばかりにフェンス際まで大逃げを打つ珍場面が見られたのは、4月14日の巨人vs中日(ナゴヤドーム)。「あんた、どこ行くねん?」と思わず吹いたファンも多かったはずだ。

 このトンデモ走塁が繰り広げられたのは、0対0の2回表だった。巨人は先頭のマギーが遊ゴロエラーで出塁したのをきっかけに1死二、三塁と先制のチャンス。

次のページ
マギーがまさかの「珍走塁」