にもかかわらず、この日はなかなか調子が上がらない。「今日は0.1パーセント(の悪い部分)が出た」の言葉どおり、2回に2点を失うと、3回にも会沢翼に右越え3ランを浴び、逆転された。しかしその裏、自らのバットで左越えにシーズン3号となる逆転3ラン。7対5とした。

 だが、勝利投手の権利を得られる5回2死から田中広輔に右越えに同点2ランを浴びてしまう。これで二桁勝利も幻と消えるかに思われた。

 ところが、この日のウィーランドはとことんツイていた。その裏、筒香が右越えに勝ち越しソロを放ち、勝利投手の権利が復活。さらに2死一塁で3打席目が回ってくると、中前安打を放ち、9点目をアシスト。この日は、3打数3安打4打点の大当たりだった。

 投手の本塁打を含む猛打賞は、球団では1975年4月26日の平松政次以来、42年ぶりの快挙である。そして、6回から4投手の無失点リレーで、13対7と快勝。かくして、ウィーランドは悲願の10勝目を挙げた。

 5回7失点の大乱調ながら、自ら4打点を挙げるという主軸打者顔負けの打棒プラス打線とリリーフ陣の強力援護で、球団史上初の快挙を達成。「神様とチームメートに感謝」のコメントがすべてを物語っていた。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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