この結果、エスコバーは7月3日に登録抹消。故障者が出るなど不慮の事態が起きない限り、このまま2軍暮らしでシーズンを終えてしまう可能性もあった。

 ところが、捨てる神あれば拾う神あり。左のリリーフ陣強化を急務とするDeNAがロングリリーフもできるエスコバーに目をつけ、同6日、黒羽根利規との交換トレードで電撃移籍が決まる。

 入団1年目の外国人選手がシーズン中にトレードされるのは、88年に中日から近鉄に金銭トレードされたブライアント以来、29年ぶりだった。

 そして、移籍後10試合目の登板となった8月23日の広島戦(横浜)、1点を追う9回に砂田毅樹をリリーフすると、その裏、ロペスが左越えに同点弾。さらに延長10回無死一塁、梶谷隆幸のサヨナラ二塁打が飛び出し、エスコバーにセリーグ初勝利がついた。

 同一シーズンに所属した2球団で勝利投手になったのは、04年の田中充(ロッテヤクルト)以来13年ぶり9人目だが、外国人投手では、もちろんプロ野球史上初の珍事。

 エスコバーも「梶谷があんな仕事をしてくれるなんて!ひじょうにうれしい」と大感激だった。ちなみに日本ハム時代の同僚・メンドーサも8月に阪神に移籍。9月18日の広島戦(甲子園)で、5回を2失点に抑えたが、勝ち星はつかず、助っ人史上2人目の快挙はならなかった。

 DeNAの話題をもうひとつ。同チームは前身球団も含めて、球団創設から2016年までの67年間、二桁勝利を挙げた外国人投手は一人もいなかった(外国人投手の最多勝利は2014年のモスコーソの9勝)。

 そんなジンクスに挑んだのが、9月25日の阪神戦(甲子園)で来日初完封勝利を飾り、勝ち星を9まで伸ばしたウィーランドだった。10月1日の広島戦(横浜)、球団史上初の快挙をかけて先発したウィーランドは、初回に2走者を出しながらも無失点で切り抜ける。

 その裏、打線がロペス、筒香嘉智の連続本塁打などで一挙4点をプレゼント。しかも、4点目は自らのタイムリーという、うれしいオマケも付いた。

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ウィーランドはとことんツイていた…