伊方原発 (c)朝日新聞社
伊方原発 (c)朝日新聞社
伊方原発の運転停止の英断をした野々上友之判事 (c)朝日新聞社
伊方原発の運転停止の英断をした野々上友之判事 (c)朝日新聞社

 四国電力・伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転停止命令を広島高裁が決定した。住民が求めた運転差し止めの仮処分を高裁が認めたのは初のケース。住民はなぜ勝てたのか。

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 今回の高裁の決定では火山の影響に触れ、伊方原発から約130キロ西にある阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合、火砕流や火山灰の影響を受けるリスクがあると判断。新規制基準では原発から160キロ圏の火山の影響調査を義務付けたが、原子力規制委員会の判断は不合理だと結論付けた。

 原告弁護団の一人で長年、伊方原発訴訟に関わる薦田伸夫弁護士が言う。

「今回の仮処分裁判では火山噴火の危険性について、火山学者の意見書を始めとして十分すぎるぐらいの主張をしました。火山リスクは福岡高裁の宮崎支部や広島、松山地裁での裁判でも認められていましたが、1万年に1度ぐらいしか起きないまれな現象という屁理屈でかわされてきた。今回は裁判長が認定事実に基づいて素直に判断してくれたのです」

 高裁として初の差し止め判断をした野々上友之裁判長(64)は、09年の広島地裁の原爆症認定で初めて国の責任を認め、14年に行われた衆議院選挙の一票の格差を巡る訴訟では広島高裁で「違憲判断」を判断した。

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