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“裏守り”も存在する「一陽来復守り」 この時期しか頒布されないワケとは?

連載「あなたの知らない神社仏閣の世界」

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穴八幡宮伝統の「一陽来復」守

穴八幡宮伝統の「一陽来復」守

穴八幡宮拝殿

穴八幡宮拝殿

放生寺参道入り口。右上に見えるお堂が穴八幡宮の出現殿

放生寺参道入り口。右上に見えるお堂が穴八幡宮の出現殿

「一陽来復」という言葉がある。「悪いことが長く続いたあと、物事がよい方向へ向かうこと」を指すことわざだ。元々は1年で一番陽の短い冬至を意味し、この日を境に季節がひっくり返ることを表している「易」で使われた言葉である。

●頒布される季節が決まっているお守り

 年の瀬も押し迫った年末から、頒布の始まることで知られる「一陽来復」というお守りがある。知る人ぞ知る金運のお守りである。

 頒布されるのは、冬至から翌年の立春、つまり節分まで。1年を24等分して考える「二十四節気」の4つの季節、1年のうち8分の1の時期だけに求めることのできる貴重なお守りだ。今では冬至と言えば年末のイメージだが、「二十四節気」では1年の始まりは冬至とされていたのだから、言い換えれば年の初めだけに受けることのできるお守りだったわけである。

●「穴八幡」の名の由来

 このお守りを頒布しているのが、東京早稲田にある「穴八幡宮」というお社だ。

 創建は1062年、源義家(八幡太郎)が奥州での戦いから戻る途中に、兜と太刀を納めたことに始まるという。

 江戸時代になり、土地の名を冠した「高田八幡宮」と呼ばれていたこの場所に的場が作られ、将軍なども立ち寄る場所となったため、別当寺(神社の管理などを行うお寺)の「放生寺」が作られることとなり、境内に工事の手が入った。この時みつかった横穴から、金銅の阿弥陀像が出土、以来、「穴八幡」とも呼ばれるようになった。

●今なお残る出現場所

 この出土した像にあやかり、“金銀融通のご利益がある”として「一陽来復守り」が授与されるようになったのだとか。出土した場所は「出現所」として近年まで見学することができたのだが、2006年に立派な出現殿が建てられ、今は見ることはかなわなくなっている。穴八幡宮は、社殿ほか多くの建造物が平成になって再建されている。これもひとえに「一陽来復守り」の力かもしれない。

●「融通」がご利益の基本

 と言うのも、この守り「使った以上にお金が戻る」と伝わっているのである。守銭奴には向かないものとも言える。

 加えて、授与期間も限られているだけでなく、家屋に祭る時間と方角も定められている厳しい決まりのあるお守りだ。もちろんお守りと一緒に、ルールの詳細が書かれた取扱説明書も配られる。簡単に言えば、“その年(年内の場合は翌年)の恵方に向かって、冬至・大晦日・節分の夜12時に祭る”のである。

 上記ルールを守るためには、一番お守りを求めて人が集まるのはやはり冬至の当日。2017年は12月22日金曜日となる。心してお出かけのほどを。

●歴史がわけた「一陽来福」

 実は、「一陽来復」守りには一部で“裏守り”と呼ばれるものがある。

 穴八幡宮では、長く神仏集合の八幡さまを祭っていたため、現在隣接する「放生寺」が江戸時代まで同じお社だったわけで、明治時代の神仏分離令により2つの寺社に分かれた経緯がある。出土したのが阿弥陀さまならば、どうしてお寺の方の管理にならなかったのかは不明だが、現在、放生寺の本尊は聖観世音菩薩で、江戸時代から高田八幡宮のご利益として有名だった“虫封じ”は放生寺の祈祷としても残っている。

 そしてこちらで授与されているのは「一陽来福」守り。聞くところによると「裏表」として両寺社で受ける方も多いらしい。

 ところで、穴八幡宮の「一陽来復守り」が有名になりすぎたのか、最近ではいろいろな寺社で同じようなお守りが出るようになった。早稲田界隈の水稲荷神社や四谷須賀神社、龍泉院、ほかにも築地の波除神社など東京ではかなり増えてきたように思う。

 聞けば、京都の車折(くるまざき)神社でも受けることができるとか。「一陽来復」は寺社にとっても明るい光が射すものなのかもしれない。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)


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鈴子

昭和生まれのライター&編集者。神社仏閣とパワースポットに関するブログ「東京のパワースポットを歩く」(https://tokyopowerspot.com/blog/)が好評。著書に「怨霊退散! TOKYO最強パワースポットを歩く!東東京編/西東京編」(ファミマ・ドット・コム)、「開運ご利益東京・下町散歩 」(Gakken Mook)、「山手線と総武線で「金運」さんぽ!! 」「大江戸線で『縁結び』さんぽ!!」(いずれも新翠舎電子書籍)など。得意ジャンルはほかに欧米を中心とした海外テレビドラマ。ハワイ好き

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