田村耕太郎が明かす「政治家になったことを心から後悔した日」

仕事

2017/11/30 16:00

 私の周りにもそういう人間がいた。企業で働いているときも政界に入ったときも。そして多くの場合、自分の未熟さゆえにそういう人物と戦っていた。

 政界というのは不条理の塊みたいなところがある。政治家としての優秀さというのは数字では公平公正にはかれず、人事や発言権というのは、よくわからない基準で決まっていた。

 はたから見ても閣僚人事やテレビに出てくる政治家の発言を聞いても、なんでこの人が……と思う場合が多いと思う。実際に政党や政府の中に入ってみると、各種の手練手管を駆使して地位や権力を獲得する先輩や同僚の姿を目の当たりにすることが少なくなかった。

 私のような30代で民間から政界入りしたナイーブな若造はそんな彼らを「清濁(せいだく)併せ呑む」のはなんともできかね、時として嫌悪を感じる日々であった。納得いかない気持ちで寝付けない夜もあった。政治家という職業は素晴らしい仕事だと思うし、志を立ててせっかくなったものだが、当時は政治家になったことを心から後悔した日もあった。その嫌悪感から、アルコールに頼って体調を悪くしたり、酔って腹いせにその人たちの悪口を言い触らして自分の評価をさらに下げたこともあった。

 先輩や同僚の不条理な発言や行動を見ていると尊敬するどころか軽蔑したくなり、それ以上に、たまに成敗(せいばい)したくなっていた。与党の会議や会食の席で論破してやろうと挑戦したこともあって、周りをヒヤヒヤさせたこともあった。当然、こうして真正面からかかわることで、いいことや成長機会はなかった。

 今冷静に考えれば、権力にすり寄る彼らの努力は、洋の東西を問わず、さらに上に近づく最も大事な準備作業であり、彼ら自身不本意ながらも、清濁併せ呑む覚悟でそれを積み重ねていたのかもしれない。むしろ、その先輩や同僚を非難するより、称賛すべきだったのかもしれない(つまり、あなたがアホと思っている人は、実は誰よりも賢い可能性があることを忘れてはならない。ただ、本当のアホもいるので注意が必要だ)。

 権力にすり寄る行為に嫌悪を感じて、そういうことをする人たちと戦おうとしていた自分はとてつもなく青臭く、今思えば情けない。

 幸い先輩が常に守ってくれていたので事なきを得た。それ以上に幸いだったのが、そうした政界で長いキャリアを持つ先輩たちからアホと戦う無駄さを教えていただいたことだ。

 その結果、頭に来たり恨んだりすることで、本来はステップアップに使うべきエネルギーや時間を相当浪費してしまっていることに気がついたのだ。

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法

田村耕太郎著

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