一方、「地元率」が最も低かったのは奈良県の66.9%。次いで、長崎県67.9%、佐賀県68.2%、と続く。全国平均は79.8%で、21道府県で平均を上回った。

■地区別の社長「地元率」、北海道が88.0%で断トツ

 地区別の「地元率」では、北海道が88.0%でトップ。次いで、中部84.2%、四国81.9%、北陸81.4%、東北81.3%、中国80.6%、関東78.0%、九州77.0%、近畿75.3%と続き、9地区のうち関東と近畿を除く7地区で前年より比率が上昇した。

 政府は国内全体の活力を上げることを目的に「地方創生」を主要政策に掲げている。しかし、地方は少子化と高齢化の同時進行で、活性化の源になる人口減少に歯止めがかからないところが多い。この状況が続くと、地方と大都市の地域格差、経済格差はこれまで以上に拡大していく。

 2016年の社長「輩出率」は、概して人口減少に苦慮する地域で高い傾向がある。これは比率算出の分母である県内人口が縮小し、相対的に輩出率が高止まりの状況が透けて見える。

「地方には仕事がない」として大都市に人が集まるが、地方でも「人手不足」が表面化している。賃金水準の地域格差も拡大していて、地方の実態を直視した創業支援や、地域で根ざした次世代産業の創出など、官民手を携えた人材流出を防ぐ有効な手立てが急務になっている。

 こうした対策が機能すると、名実ともに社長「輩出率」が地方の活性化を測るバロメーターの一つになるだろう。(東京商工リサーチ)

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース296万9,431社(2016年12月時点)の代表者データ(個人企業を含む)のうち、公開された出身地を抽出、集計した。なお、同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高が高い企業を優先し重複企業を集計対象外とした。集計対象外企業は20万4,853社

※ 都道府県別の社長数は人口に左右されるため、出身都道府県別の社長数と人口(総務省「人口推計」2016年10月1日現在)を対比し、2016年の社長「輩出率」を算出した