「紅白」が国民的音楽番組を標榜する以上、たとえアーティスト名や楽曲のタイトルを聞いてピンと来なくても、CM中で流されていて、世代を問わないテレビ視聴者が“詳しくは知らないけどどこかで聞いたことがある”という曲、それを手掛けるアーティストを重宝するのは仕方のないところだろう。

 それに加えて近年の傾向である“若者ウケ”を狙った人選は、テレビ離れが叫ばれる中、少しでも若い人たちに「紅白」に興味を示してもらいたいという思い、そしてその裏には若い世代からの受信料徴収という狙いも垣間見える。

 今年『EXCITE』で自身初のオリコンチャートで1位を獲得してブレーク中の三浦大知、昨年も出場が取り沙汰された「SHISHAMO」あたりは順当な選出だが、いかにも近年の「紅白」が欲しそうな人気アニメ「けものフレンズ」の主題歌を担当する声優ユニット「どうぶつビスケッツ×PPP」が外れたのは意外だった。

 毎年メディアの間で注目集める“周年アーティスト”については、今年はデビュー30周年を迎えたロックバンド「エレファントカシマシ」が初出場を決めた。

 これまで数々のヒット曲を世に放ち、今年が初出場というのは意外な観もあるが、個人的にも好きなアーティストでもあり、大みそかのステージでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか期待している。

 デビュー10周年のSuperflyは、2年ぶり2度目の「紅白」出場だが、ヒット曲も多く、歌唱力の高さにも定評があり、逆に言えばなぜ、昨年は“落選”したのか不思議な印象だ。

 倉木麻衣は、今年に人気アニメ「名探偵コナン」のテーマソングを通算21作品担当し、「同じアーティストにより歌われたアニメシリーズのテーマソングの最多数」でギネス世界記録に認定されたこともあり、通算4回目の「紅白」出場を決めた。

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