あれ以来、娘は一切、私の病院通いに付き添ってくれなくなりました。「お母さんばかりに私の時間は使えません。病院は一人で行ってください」と言い、電話もメールもなくなりました。こんな老後を迎えるなんて、思ってもいませんでした。

<専門家・前野マドカさん(幸福学)からのアドバイス>

 玲子さんも気づいていらっしゃるように、娘さんは子どものことやお姑さんのことで相当ストレスをためているようですね。そのつらさや苦しみについて、「お母さん、わかって!」という気持ちがこの文面から伝わってきます。母親に向かって土下座をしろなんて、そんなことを言って気分爽快になる人なんていません。おそらく、イライラに任せて言ってしまった自分を悔いているはずです。もちろん言われた玲子さんも大変なショックだったと思います。でも、自分自身を振り返ってみましょう。感謝の気持ちは娘さんに確実に伝わっていますか? 忙しい中、病院につきあってくれることの負担に対して、どれほどの言葉をかけてあげたでしょうか。

 玲子さんが変われば、娘さんも必ず変わります。最初は難しくても、相手に感謝する練習をし続けると、必ず変わってきます。仲良し母娘に戻ることは不可能ではありませんよ。

まえの・まどか/慶應義塾大学大学院附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。幸せを広めるコンサルティングなどを行う。

(文/島田ゆかり)

 ※「ゆとりら秋冬号」から一部抜粋