本拠地・福岡で自分たちの戦いを存分に披露できたソフトバンクが連勝発進したのは、ある意味では当然であり、地の利を生かした戦いこそシリーズの“ホームアドバンテージ”でもある。しかし、シリーズ第3戦から戦いの場は横浜へ移る。DHが使えない「野手8人」での対決になる。

 ソフトバンクは守備力に目をつぶり、デスパイネを果たして起用するのか。デスパイネが守りについた場合では守備力で、デスパイネを代打要員にすれば攻撃面で、それぞれ大きなマイナスが生じる。デスパイネを使うか、使わないかで横浜での戦いぶりも大きく変わってくる。

 「横浜で(日本一を)決めたいですけど、ヤフオクドームで胴上げをしてもらいたい気持ちも……」と工藤監督。2年ぶりの日本一奪回へ、本拠地2連勝でつかんだその勢いをかって一気に勝負をつけたいのは勝負師としての本能でもあるだろう。しかし、DH制のない横浜での試合では、その戦いぶりは変わらざるを得ない。DeNAにすれば、今度は自分たちがホームの“アドバンテージ”を活用する番とも言える。

 ただ、横浜では最大3試合。4戦先勝の日本シリーズとあって、仮にソフトバンクが3連敗を喫しても、開幕2連勝のおかげで福岡に戻って態勢を立て直すことができる。「ヤフオクドームで胴上げをしたい気持ちもある。いずれにしても、何かあっても(福岡に)戻って来られる」と指揮官。横浜でDeNAに胴上げを許す可能性を開幕2連勝で完全に消滅させている。

 何も慌てることはない。2年ぶりの日本一奪回へ向け、ソフトバンクが“優位”に立っているのは疑いのないところだ。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス中日、ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。