さらに、第2戦でベンチ入りした控え野手の人数にも違いがあった。ソフトバンクは7人、DeNAは6人。野手層を厚くしていたソフトバンク・工藤公康監督が惜しみなく代打をつぎ込む積極采配を見せたことで、2点差をひっくり返すという7回の逆転劇を演出しているのだ。

 7回、まずDeNAが先発の左腕・今永昇太に代えて右の三上朋也を投入し、逃げ切り態勢に入った。そこで工藤監督が8番の江川智晃に代打・明石健志を送ると、その明石が左中間突破の二塁打でチャンスメーク。9番の甲斐拓也は打席に向かうところで呼び止められ、代打には城所龍磨。その城所が1球で送りバントを決めて1死三塁としたところで、DeNAは打者柳田に対して左腕の砂田毅樹を投入も、柳田は中前タイムリーを放って1点差とした。

 ここでDeNAはセットアッパーの右腕スペンサー・パットンを投入。対する今宮を二ゴロとしたが、二塁送球を遊撃・倉本寿彦が落球。併殺でチェンジが一転、ピンチが広がることで浮足立ったDeNAにつけこんで2死満塁とすると、5番の中村晃が右前へタイムリー。三走の柳田が生還して同点とし、さらに二走・今宮が本塁にヘッドスライディングで飛び込むと、際どいタイミングに牧田匡平主審のコールは「アウト」。しかし、これが工藤監督のアピールでリプレー検証に持ち込まれると、判定が覆っての逆転打となった。

 つぎ込んだ野手が確実に仕事をこなした上、ソフトバンクにはまだ、右の吉村裕基、左の長谷川勇也がベンチに残っていた。仮に終盤以降に試合がもつれたケースでも、まだオプションがあったのだ。

 一方のDeNAは野手層の薄さが響き、大事な局面を突破できなかった。1点を追う9回、先頭の宮崎敏郎が四球で出塁すると、代走に送ったのは4年目の関根大気。ソフトバンクの守護神デニス・サファテは日本記録の今季54セーブを挙げた絶対的存在だが、欠点は走者を背負ったときのモーションが大きいことだ。

 パのチームなら二盗のチャンスをうかがい、足を使って得点圏に走者を送り込もうとするのだが、関根は今季1軍29試合で盗塁ゼロ。走者が出ると、マウンド上で落ち着きをなくしがちなサファテに揺さぶる姿勢も見せず、送りバントを決めたとはいえ、あっさり1死を与えた上、DHの乙坂は空振り三振。打でも足でもスペシャリストがいないという選手層の薄さが、DeNAには最後の最後まで響いたのだ。

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