その象徴は、社民を含む4者が一枚の協定書に名を連ねたことだ。枝野代表のメディアでの発言によれば、全国レベルでは市民と立憲民主、市民と共産が協定を結ぶという間接的な形式で共闘が成立。だが、北海道ではすべてのプレーヤーが同じテーブルの上で握手を交わした。

「共産のプライドを尊重するこの形が重要だった」

 民進党道連のある幹部は、こう振り返った。
 北海道での野党共闘について、枝野代表も「これまで積み上げてきた中心になっているのが北海道の皆さん。大事な我々の原点の一つだと思っている」との見解を示した。

 5区補選に端を発する北海道での一連の動きは「野党共闘」の先行事例であり、立憲民主を軸とするリベラル勢力が拡大する震源地ともなり得ると予感させる動きとなった。

 13日の札幌市内で筆者が「ファーストネームが“憲政の神”と呼ばれた尾崎行雄に由来するとのこと。同じような一歩を踏み出したのでは?」と問いかけると、枝野代表は「そうなっちゃいましたね」と笑みを浮かべた。
 
「中長期的にみて、下からの政治、立憲主義の政権の起点ともなり得る立憲民主の動きだと思うが、その意気込みは?」との質問を加えてぶつけると、その答えはこうだった。

「最近で言うと、私が初当選した1993年の日本新党での最初の衆院選が、政治が次のステージに移ったポイントだった。今年の選挙が後々から振り返って、あそこから新しい流れが始まった、と言っていただけるような選挙にしたいし、そういう立憲民主党にしていきたいと思います」
 リベラル勢力の旗手に躍り出た党の代表が冬の足音が聞こえ始めた北の地で語った言葉は、与党で3分の2を超えるという安倍圧勝の裏で起こり得るさまざまな動きを想起させるものとなった。(ライター・高野祐太)